人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

毛の長い話

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今回の話題は事もあろうに実話、しかも証明画像つきというあられもなさでお送りする。これはいったい何でしょうか?眉毛です。
洗顔して、何だか妙に左眉毛に違和感があったので指先でつまんでみた。どうも一本抜きん出て長い眉毛があるような気がする。そのまま指先の触覚だけで抜こうとしてみたが、指で眉毛を一本だけ選り抜いて引き抜くのは簡単なようで難しい。どうしても数本束にしてつまんでしまう。
束ねると折れない矢の喩えと同じく、眉毛の毛根の強度など何となくしごくだけでも一、二本は抜けるものだが、徒党を組むと意外に団結力があるわけだ。まるでどこかの…と差別的な表現が喉まで出かかる。

毛抜きなど持っていないし(妻帯者の頃は便利だった)ハサミで切るのも爪切りを使うのも危険だろう。うちには小さい手鏡しかないし(妻帯者の頃は便利だった)幸い徒歩一分のスーパーマーケットに必ず空いている大型個室トイレがある。ベビーカーや車椅子、泌尿器障害者用の老若男女全利用可のやつだ。あれを利用するたびに精神病院の隔離室や拘置所の独居房を思い出すが、隔離室には洗面台もないしウォシュレットでもない。独居房には洗面台はある。どっちみち隔離室や独居房とは人を監禁しておく大型トイレ部屋だと思ってもらえればいい。
違いがまだある。隔離室も独居房も天井がやたらと高く、自由に消灯できない。

スーパーのトイレで抜いてみて、持って帰って記念に撮っておいたのが画像の写真になる。普通眉毛は自然な新陳代謝でほどほどの長さで生え代わるはずだが、この毛は通常の二倍の寿命があったわけだ。
翻訳当時新刊で読んだアメリカ小説を思い出した。拡張高いこのブログには場違いな大衆小説だが、中学生だったから仕方ない。

「ローズウォーター法は、上院議員がみずから傑作と考えている法律だった。それが傑作であるゆえんは、実際にわいせつを定義していることにあった。
・猥褻とは(と条文は述べている)絵画、音盤、あるいは文書で、生殖器、排泄物、あるいは体毛に注意を喚起するものをいう」
「エリオットはいま、とほうもない毛を発見した。それをどこまでも伸ばしているうちに、三十センチの長さがあることがわかったのだ」(カート・ヴォネガット・ジュニア『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』)