人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アニメ『花物語』一挙放映ネタバレ編1

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西尾維新原作『花物語』は学園青春ホラーの人気作品「物語」シリーズ第二期全六作の内の一編で、アニメ化では最終作となります。そこで『花物語』は全五話が8月16日土曜ゴールデン枠19:00~21:00に一挙放映されました。
30分番組五話で制作されたものを二時間枠ですからOP主題歌とED主題歌は最初と最後だけ、一話ごとのインターバルもDVD/BR-Dの15秒CMが二本だけ(30秒!)で、わが家には録画装置なんて贅沢品はないから貼りついて観ました。告知ではDVD/BR-Dは9月/10月に上下巻発売なので、録画画像がネットにアップされては著作権侵害で消される、のイタチごっこになるでしょう。つまりネットでタイミング良く観られる可能性もあります。

ヒロイン神原駿河は亡き母から託された猿の左腕のミイラの呪物で願い事を三つ叶えることができますが、二つまで願いを叶えた代償に左腕が怪物化している―というのが幕開けからの設定で、これはシリーズの前作で起った出来事らしく、ヒロインのモノローグと断片的な映像で視聴者が事態を把握するため序盤の展開はゆっくりです。
駿河は生前の母との確執に囚われており、それは肉体的な異変となって顕れています。そんな時、彼女は友人から高校生の間で出回っている「願いを叶えてくれる悪魔様」の噂を聞いて動揺します。願いを叶える能力を持つ悪魔とは他ならぬ駿河自身で、その噂が流れているのではないか。

やがて突き止めた悪魔様の流言の源は中学時代のバスケのライバル沼地蝋花でした。駿河が左腕の怪物化でバスケを辞めたのと同時期に、蝋花も左足の故障でバスケを辞めて消息を知れずにいたのです。
そして蝋花は自分こそが悪魔様を名乗る不幸の収集家だ、と悪魔を騙る動機と実益を語ります。それは駿河の倫理観とは真っ向から対立するものでした。

この作品は過去の呪縛(母から)を過去の亡霊(バスケのライバル)との対決によって乗り越える、という少女(高三を少女と呼べれば)の成長物語です。ここでは亡き母からの呪縛の具体化が肉体的な変異となっており、ヒロインにとっては忌まわしいものがかつてのライバルには現在、存在の維持のために必要になっている。そういう構図が徐々にわかってきます。
ここまでで全五話中二話、だんだん嫌な雰囲気になってきましたね(笑)。次回はもっと陰惨になります。