人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(3)Syd Barrett-"Opel","The Radio One Sessions"U.K,1988,2004

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Syd Barrett-"Opel"U.K,1988(rec.1968-1970/Full Album)
https://www.youtube.com/watch?v=uFgdLJiNZkE&feature=youtube_gdata_player
1.オペル Opel
2.クラウンズ&ジャグラーズ(オクトパス) Clowns & Jugglers(Octopus)
3.ラッツ Rats
4.金色の髪 (リメイク、テイク6) Golden Hair (Instrumental)
5.ドリー・ロッカー Dolly Rocker
6.ワード・ソング Word Song
7.夢のお食事 Wined And Dined
8.スワン・リー Swan Lee (Silas Lang)
9.バーディー・ホップ Birdie Hop
10.レッツ・スプリット Let's Split
11.ランキー (パート1) Lanky (Part One)
12.僕がいなくてさみしくないの(暗黒の世界) Wouldn't You Miss Me (Dark Globe)
13.銀河 Milky Way
14.金色の髪 (テイク1) Golden Hair (Instrumental)
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 拾遺アルバム『オペル』のリリースは1988年10月、後にボックス・セット『クレイジー・ダイヤモンド』1993でさらに19曲の別テイクが発表される。それら19曲は現在では『帽子が笑う…無気味に』『その名はバレット』『オペル』の三枚に分散収録されているが、『オペル』はCD時代にさしかかっていたとはいえ、まだ新作はアナログ盤でも発売されていた頃のリリースだったのでLP盤の収録時間に合わせて編集された。『帽子が笑う…無気味に』からのアウトテイクが1,2,4,8,11,12,14でうち1,8,11が未発表曲、『その名はバレット』からのアウトテイクは3,5,6,7,9,10,13でうち5,6,9,10,13が未発表曲になる。ほとんどギター弾き語りの一発録りでデモテープ集に近いものだが、2.はソフト・マシーンがバンド演奏をオーヴァーダブ、8.と11.にもバンド演奏がオーヴァーダブされているがこちらはピンク・フロイドによるものらしい。ピンク・フロイドシド・バレット在籍時のアルバム未収録シングル、未発売シングル曲を未だに完全には公式発売しておらず、3枚目のシングルに予定されながらEMI側の意向で"Apples and Oranges"c/w"Paintbox"に差し替えリリースされた"Scream Thy Last Scream"c/w"Vegetable Man"の2曲は前記のボックス・セットに収録が予定されながら発売直前にフロイド側が不許可を出し収録されなかった。おそらくフロイド側で元リーダーのウォーターズと残留組のギルモア&メイソンにフロイド名義の著作権の法的抗争があり、フロイドの名義が使えないのだろうと思われる。だからって未だにお蔵入りのままはないと思うが。
 未発表曲を8曲含むことでも『オペル』にはそれなりの存在価値はあるが、『帽子が~』に未収録の3曲、『~バレット』に未収録の5曲はアルバムに入れなかったプロデューサーの判断が正しかった。『オペル』で曲単位で聴くとああシド・バレットだなあ、と胸に沁みるのだが、『帽子』や『バレット』は実は統一感のある完成度の高いアルバムだったのがわかる。まずはその2枚を聴いてから聴きましょう、というのが『オペル』だろう。邦題の副題が『ザ・ベスト・コレクション・オブ・シド・バレット』というのはハッタリです。
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Syd Barrett-ボブ・ディラン・ブルース "Bob Dylan Blues" (from "Best of Syd Barrett/Wouldn't You Miss Me?"2001)
https://www.youtube.com/watch?v=uOokCdkIejk&feature=youtube_gdata_player
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 21世紀になってデイヴ・ギルモア家の押し入れからとんでもないものが出てきた。たった1曲の未発表曲だが、せっかくだからとベスト・アルバムが編まれることになる。それがこのアルバムで、問題の未発表曲が『ボブ・ディラン・ブルース』になるのだが、ちょっと軽快に初期ディラン風にやってみました、というところだろう。30年間押し入れにしまっていたギルモアは偉いというか呑気というか、シドは2006年に亡くなるからベスト・アルバムの発売は晩年のシドには明るい出来事だったろう。本人はもう何もわからなくなっていたかもしれないが。このベスト盤は好選曲・編集で『オペル』より良い、と好評を博した。
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Syd Barrett-"The Radio One Sessions"U.K,2004(rec.1970,1971)
https://www.youtube.com/watch?v=F-BiOyHQWqM&feature=youtube_gdata_player
1.カメに捧ぐ詩 Terrapin
2.ジゴロおばさん Gigolo Aunt
3.ベイビー・レモネード Baby Lemonade
4.興奮した象 Effervescing Elephant
5.トゥ・オブ・ア・カインド Two Of A Kind
6.ベイビー・レモネード Baby Lemonade
7.ドミノ Dominoes
8.ラヴ・ソング Love Song
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 1~5は1970年2月24日付けのジョン・ピール・セッションで『ジョン・ピール・セッションズ』として1987年に発売されていたもの。ドラムスにジェリー・シャーリー、ベースとギターでデイヴ・ギルモアが参加し、『その名はバレット』よりも軽快な歌と演奏が聴ける。ピール・セッションはスタジオ・ライヴといってもオーヴァーダビングが奨励されていたのでスタジオ録音の別テイク・別アレンジ版という方が正しいかもしれない。
 6~8は2004年のこの盤初出のソロ・ライヴで録音は71年2月16日のボブ・ハリス・ショー。こちらは正真正銘のライヴ一発録りで弾き語りだが、録音状態の悪さ(音源がラジオのエアチェック・テープなのだろう)以上にシドが苦しそうで、さっさと終わらせたいからか早めのテンポで演奏時間も短い。年代的にもこれが残されたシドのラスト・レコーディングになる。それから逝去までの35年間、シドは音楽どころではない人生を送ったのだった。