人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

John Handy - Live At the Montrey Jazz Festival(Columbia,1966)

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John Handy - Live At the Montrey Jazz Festival(Columbia,1966)Full Album
Recorded live at the Monterey Jazz Festival,September 18th,1965
SIDE A : Spanish Lady: http://youtu.be/CM437wP4pFA
SIDE B : If Only We Knew: http://youtu.be/lJhp43v-yd8
[Personnel]
John Handy ? alto saxophone
Mike White ? violin
Jerry Hahn ? guitar
Don Thompson ? bass
Terry Clarke ? drums
*
 エリック・ドルフィー、ラサーン・ローランド・カークブッカー・アーヴィンと取り上げてきたミンガス門下生サックス奏者列伝だが、ミンガス・バンド出身の、という枕詞が要らないミンガス門下生サックス部門はジャッキー・マクリーンドルフィー、カークくらいで、アーヴィンあたりでようやく後輩のジョージ・アダムスくらいにミンガス・バンドでの業績と自分自身の音楽活動がほぼ同じ比率になる。ジョン・ハンディはそれまでにマイナー・レーベルに3枚のアルバムがあったが、大手コロンビア移籍第1作になるこの『ライヴ・アット・モントレー・ジャズ・フェスティヴァル』で一躍バンドリーダー・ジャズマンとして名をあげた。次作『ナイーマ』(原題"New View"1967)もライヴ盤で、良くも悪くもライヴ向きの大味な芸風だから一流プレイヤーとして大成したとは言えないが、現在も現役活動中で1990年代までは新作を出していた。チャールズ・ミンガスのバンド在籍中のアルバムは、どれもミンガスの傑作と言ってよく、ブッカー・アーヴィンとのアルト&テナーサックス・コンビはハンディやアーヴィン個々のアルバムよりも抑制の効いた渋い魅力があった。それが、

Jazz Portraits: Mingus in Wonderland (United Artists, 1959)
Mingus Ah Um (Columbia, 1959)
Mingus Dynasty (Columbia, 1959)
Blues & Roots (Atlantic, 1960)

 で、次にハンディがミンガスのバンドに参加するのはゲストとして、

Right Now: Live at the Jazz Workshop (Fantasy, 1964)

 のアナログ盤A面にのみ加わっている(B面はテナーサックス&フルートのクリフォード・ジョーダンのワンホーン)。ハンディの略歴をアメリカ版ウィキペディアから引用する。

 John Richard Handy III (born February 3, 1933, in Dallas, Texas-) is an American jazz musician most commonly associated with the alto saxophone, although he also plays tenor and baritone saxophone, saxello, clarinet and oboe, and sings.
*
 ハンディの代表作であるこのアルバムがその後のジャズとロックに与えた影響は、ジャズではチャールズ・ロイドの『フォレスト・フラワー』(1966年9月、モンタレー・ジャズ・フェスティヴァルでのライヴ録音)、またブルース・ロックとサイケデリック・ロックハード・ロック、ジャズ・ロック、プログレッシヴ・ロックすべての期限になったザ・ポール・バタフィールド・ブルース・バンドの『イースト・ウェスト』(1966年7月スタジオ録音)がもっとも早い例になる。『イースト・ウェスト』は8月には発売されており、年末発売の『フォレスト・フラワー』より録音・発売ともに先になる。『イースト・ウェスト』は日本の60年代後半のロック界にももっとも影響を与えたアルバムで、バタフィールド・ブルース・バンドはブルース・プロジェクトと並んで白人ブルース・バンドの先駆けなのだが(ユダヤ系白人バンドという共通点もあった)、マイク・ブルームフィールドとエルヴィン・ビショップのツイン・ギターはモダン・ブルースの枠を越えて、ビート・グループのスタイルからロックを刷新させるアイディアに満ちていた。
 ジョン・ハンディはミンガスの指揮下では優れたアルト奏者だったが、バンドリーダーとしては月並みだったように思える。アイディアやコンセプト、カリスマには不足していた。それが『アット・モンタレー・ジャズ・フェスティヴァル』ではアルトサックス、ヴァイオリン、エレクトリック・ギター、ベース、ドラムスといういかがわしい編成、ライヴ録音を前提にアルバム片面1曲の長尺ナンバーで挑んだのが、かえって功を奏したのだろう。メンバー個々の力量からは到達できなかったようなハイテンションな演奏になってしまった。楽曲としては、19分半ある『スパニッシュ・レディ』も27分近い『イフ・オンリー・ウィー・ニュウ』も単純なモチーフしか備えていないのだが、ヴァイオリンとエレクトリック・ギターのアンサンブルは小編成コンボではユニークな効果を生みだしている。70年代のジョン・マクラフリンマハヴィシュヌ・オーケストラの先駆的試みでもある。アルバムのジャケット写真を見ると、ヴァイオリンのマイク・ホワイトは黒人、ギターのジェリー・ハーンは白人とわかる。
 このアルバムは白人リスナーにも黒人リスナーにも受けたのが、黒人ジャズマンにとっては(また白人ロック・ミュージシャンにとっても)黒人音楽と白人音楽を融合する手法としてヒントを与えた。特に新たな楽器編成の試みに積極的なフリー・ジャズのミュージシャンたちは、アルバート・アイラー始めヴァイオリン族の弦楽器(ヴィオラ、チェロ)、エレクトリック・ギターやエレクトリック・ベースをバンドに取り入れ始めた。また、同時集団即興というコンセプトでもミンガス門下生のハンディとフリー・ジャズには親近性があった。
 また、LP片面1曲の長尺演奏だけという発想など、ジョン・ハンディがこのアルバムでやらなくても誰かが65年~66年には始めたと思うが、それでも先駆者の誉れはある。ちなみに現在CDでは実際の演奏順に基づいて『スパニッシュ・レディ』が2曲目になっているが、ジャズ喫茶でこのアルバムをリクエストするとLPのA面『スパニッシュ・レディ』しかかけてくれないらしい。以下、解説はアメリカ版ウィキペディアに譲ります。

 Recorded Live at the Monterey Jazz Festival is a live album by saxophonist John Handy, recorded in 1965 and released in 1966. It is Handy's most famous album and his debut on Columbia. The original album only features two long instrumental pieces, notable for their "free form", a peculiar use of harmonies and unusual instruments (violin and guitar along with more "classic" jazz instruments are uncommon in jazz music).
 The album is mentioned in 1995 Charles Burnett's short film When It Rains. Influential critic Ralph J. Gleason called the lineup on the album "an exciting group and one of that will make jazz history."Notwithstanding the praises and its relevance, Recorded Live at the Monterey Jazz Festival still remains a little-known album.
(Wikipedia)