人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

新編☆戦場のミッフィーちゃんと仲間たち(57)

 チェブラーシカとわにのゲーナにやみ酒を仕入れさせているシャパクリャクおばあさんは謎のいじわるおばあさんで、悪いことをしなければ有名になれない、とまわりの人間の嫌がることをしては喜ぶ性格でした。冷戦時代にはアメリカに渡ってスパイ活動に暗躍していましたが、東西の壁が崩壊した現在でもスパイ時代にバットマンの自動車のタイヤをパンクさせ、バッグス・バニーのにんじんに農薬をかけてだめにし、ネズミーマウスのしっぽに空き缶をゆわえつけた容疑でFBIから国際手配手配されているため、国外には出られないのです。
 チェブラーシカとゲーナがやみ酒を仕入れての帰り道、すれ違ったスヌーピーは人間の数万倍の嗅覚でチェブラーシカたちから間接的にシャパクリャクおばあさんの臭いを嗅ぎつけました。それはチェブラーシカたちがシャパクリャクおばあさんから賃金と一緒にロシアの郷土料理をふるまわれているからで、かつてスヌーピーの自慢の犬小屋が何らかの目的で就寝中に滅茶苦茶に荒らされた時も(スヌーピーは閉所恐怖症のため夜は屋根の上で眠るのです)、翌日の昼間に留守中むざんにも犬小屋が爆破されていた時も、確かにこの臭いが現場に残されていました。バットマンやバックス・バニー、ネズミーマウスの件も同じ頃に起こった事件でしたが、スヌーピーはマスコミ全体に裏から圧力をかけ自分の事件だけは漏洩しないようにしました。バットマンやバックス・バニーはまだしも、ネズミーランドでボロ儲けしているあのネズミーマウス、生意気にも飼い犬まで飼っているあのねずみと同列に並べられるのは撃墜王のプライドが許しませんでした。
 もちろんスヌーピーにはいかした大学生ジョー・クール、小説家、辣腕弁護士、ビーグルスカウト団長など他にもさまざまな顔があります。天才外科医、登山家、船長、ロックスター(の天才マネージャー)、危険物取扱者、簿記三級そろばん二級、チェス名人、ビーグル・オブ・フェイム(ビーグル犬の殿堂)、Ph.D.(哲学博士)、考古学博士、美術品鑑定士、天文学教授。これだけの才能に恵まれ素人探偵の素質がないわけはあろうか、というものです。ここで会ったら百年目、ついに屈辱の犬小屋爆破事件の真相をつきとめる糸口がみつかり、あの時はチャーリーらに犬小屋が気に入らないからって爆破しちゃ駄目だよ、もっと気に入る新しいの作るからね、と犯人あつかいまで受けたのです。