人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

新☆戦場のミッフィーちゃんと仲間たち(58)

 捕まえておいて、数か月間監禁しておき、適当に事務処理したら何のフォローもなく放り出す……犯罪被疑者はこうして効率良く再生産される……被疑者とは被疑者というだけで数か月を正当な法的効力で監禁できるので、世間ではそれなりに根拠があるんだろう、と思うだけだ。それは法の適用が無謬であり、自分は法に守られている側にいると盲信しているからで、そんな無謬はどの国のどんな法でもあり得ない。法はいつでも無作為に無辜の個人を蹂躙し得る……法に守られた個人など存在しない、常に法に拘束されているだけだ。これを言えるのは、尻の穴をガラス棒で探られ、大きな指で潰される蟻のようにむき出しで法と対峙した経験のある個人だけで、あなた方にはそれを否定する権利も賛同する資格もない。これは言葉の真の意味での戦争なのだ……完全な勝ち目はない、殺るか殺られるか、という対照性すらない……相手が巨大すぎるので(それは民意に支えられたもの、すなわちあなた方そのものだから)、いかに回避して低い程度の懲罰で済ませるかしかなく、そのための自由を奪い事態を不利にさせるために任意拘置という名目の強制的監禁がある。親指に否が応でも朱肉を当てられ任意拘置同意書に拇印を捺印させられ、10日ごとに期限が来ればそれがまたくり返される。夏でも冬でも5日おきの入浴、衣類の替えと洗濯は下着も含めて10日おき……カレンダーも時計もない……ベルトと靴紐も取り上げられる……捕まえられた時の格好、トランクスにTシャツ、ジーンズのパンツで夜も昼も過ごす……毛布はじゅうたんみたいにごわごわして、タグを見ると20年前の日付が書いてある……食事のトレイは足もとの横長の小窓から出し入れされて、三度の食事以外に時間の感覚がない……空間の感覚もおかしくなっている……自由に出入りもできず好きな気晴らしもできないと……一応図書はあるが、牢獄の蔵書に推理小説ばかりとは笑わせる……空間の感覚、日常生活では正常な遠近感を喪失していくのがわかる……ついこの間まで毎日普通に会話していたのだが、監禁されてからは定時の点呼以外には一日じゅうひと言もしゃべらない毎日が続く。3036番、ここでは番号が名前の替わりに与えられる……取り調べ室への移動にも手錠と腰縄で拘束される……これが人が人にすることか?……これらすべてを容認しているのはあなた方なのだ……あなた方も経験してみるがいい。