人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

新編☆戦場のミッフィーちゃんと仲間たち(76)

 ぼく、つまりチェブラーシカと親友のわにのゲーナは何もない丘に立っていました。つまらん仕事を請け負っちまったんじゃないかい、とゲーナは言いました。どうして、とチェブラーシカは訊き返しました。簡単な損得勘定だよ、とわにのゲーナ、おれたちのやることは密輸だろ?下手したらそれは盗品売買より危険だぜ、しかも盗品売買よりも売り手と買い手の共謀性が高いと見做されかねない。盗品売買なら客は知らぬ存ぜぬのフリの客で押し通せもできようが、密輸品となると知らないでしたで済まされるもんじゃないだろう。このあたりでは売買されていないものを売り買いしているんだから、売る側も買う側もどちらも含めて組織犯とされても抗弁しようもない。
 チェブラーシカは黙ってゲーナの説教を聞いていましたが、でももうぼくたち請け負っちゃったんだから仕方ないよ、と歩き出しました。待てよ、とゲーナは荷車を曳きながら、おれも下りるとは言っていないよ。受けてしまった以上仕事は仕事だ、そのくらいは筋は通すさ。だがそれがどう危険かはさっき言った通りだし、おれたちは考えなしに下手をしたらやばい、ということだ。つまりおれたちは。
 つまり長い目で考えるべきだ、と言いたいわけね、とミッフィーちゃんは言いました、もし私たちが共存を望むならば。でも私たちはどうやったらあなた方を信用することができるかしら。あなたの店に行ったお客は、あなたの店さえなければ私たちのお店に来るはずだったお客さんだった。そうでしょ泥棒猫!
 繰り返しの話になるけれど、とハローキティは徐々に強まる頭痛を意識しながら、話は逆でも同じよ、あなたのお店にお客さんが入れば、その分私たちのお店にはお客さんが少ない。それはどうしようもないことだわ。たとえあなたと私が和平したとしても、そればかりは均衡の原理が働いているんだから。質量保存の法則?私たちは同じてんびんの左右にいるのだから、そこから下りるのは不可能なのだから、私のリボンがなくなろうが見つかろうが私たちは同じてんびんから下りられないままなのよ。これであなたも少しは勝者の気分を味わえたかしら。もしそれがお望みなのなら。
 ビジネスはビジネス、しっかりやろう、とゲーナは言いました。要するに密輸でもなく売買でもなければいいんだろ?いい手を考えた。国境線ぎりぎりに賭場を開くんだ。荒れ地にゴザを敷くだけでいい。これは儲かるぞ。どうかな?