人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

秋枯れの冷やしオヨヨ中華

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 冷やし中華については夏が来るごとに書いていたと思う。それはやっぱり冷やし中華の美味しい季節が到来した喜びからで、手持ちの文献やウィキペディアほかを当たって冷やし中華の起源と歴史的・地域的ヴァリエーションについてうんちくを傾けた記憶がある。
 筆者が少年時代に愛読した「オヨヨ大統領」のシリーズには、実在の(当時)日本テレビ・プロデューサーが探偵役の長編もあって(語り手はラジオの人気DJという設定)、そのH氏が敗戦後に横浜でラーメン屋を開業したが夏場は売り上げが落ちる。そこで考案したのが現在の和風冷やし中華になるらしい(冷麺自体は日本国内でも各地にあり、中国や朝鮮国にも古くからあった)。酢とごま油を使ったしょうゆだれ、きゅうりと錦糸卵とハム、なるとを細切りにしたトッピングなどは焼け跡闇市時代のH氏の考案で、それが現在でも標準的な和風冷やし中華(トマトの普及以来はさらに薄切りトマト、プチトマトの普及以来はプチトマトも加わるが)になった、という。
 また、70年代半ばには全日本冷やし中華連盟、略して全冷中という冗談みたいな組織もあった。これは「なぜわれわれは夏しか冷やし中華を食べられないのか?」と発起した文化人の会で、Y氏(ジャズピアニスト)の著書にその経緯は詳しい。Y氏は全冷中の中心メンバーのひとりだった。もう40年も前になるが、氏の著書も「オヨヨ」の著者の著作と並んで少年時代の愛読書だった。過去形なのは、今では両氏の書くものに幻滅しているからになる。

 さて、もっと詳しい記事は以前も載せたが、ヤフーブログでアクセス解析というのが始まり、意外に古い記事も読まれていることがわかった。昨日(9月8日)は86人訪問、閲覧ページ数(PV)241ページになるが(男女比や年代比は略)、閲覧記事上位10記事はこうなっている。

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 普段は最新の音楽記事、次いでアンパンマンが1位2位になることが多いのだが、意外と古い読書関係の記事も読まれているのは不思議で、自分でも内容をすっかり忘れている。読み返してみるとけっこう達者なコラムになっていたりして、全然自分が書いたものとは思えない。最新記事の閲覧頻度が高いのは当然かもしれないが、取り上げている音楽やアンパンマンの内容を考えるとよくまあ、あれを読んでくださる方々がいると思う。もっとも、アンパンマンについては釈明できないが、音楽記事は予備知識のない人でも概略がつかめる程度には入念に仕上げてあると思う。ひどい音楽批評はさんざん読んできたから、どう書けばまだしもマシになるかは常に念頭にある。
 定期更新記事より不定期の遊び記事(前回は肉じゃが+『ガールズ&パンツァー』)の方がよく読まれる。実際、遊び記事の方がネタに困るので労力がかかってもいるから、無理をしてまで書く甲斐もある。

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 だがこれは冷やし中華の記事で、しかし書き始めたら過去記事を検索してご覧いただいた方が良い、と気づいてしまった。人生下り坂の中年男はこれだからいけない。だいたい今年の夏は、冷やし中華ではなくそうめんばかり食べていた。冷やし中華は具がないとさびしいが、そうめんは練りわさびと刻みネギくらいあればいい。それに麺自体も割高になる。一食あたり冷やし中華はそうめんよりも4~5倍くらいコスト高になるだろう。
 ところが先週、スーパーの特売で日清の「ラ王」とマルちゃんの「正麺」が5食入りパックで198円と、半値以下で販売されているのを見かけた。同じスーパーでは自家製ハムも100g85円の特売だったので、「ラ王」と「正麺」をそれぞれしょうゆだれ、ごまだれを1パックずつ買ってきた。具はとりあえずハムがあればいい。それでもそうめんよりはコスト高だが、未開封の乾麺は再来年まで持つ。今年も遅まきながら冷やし中華を食べるのだ。どうせ一日一食(だいたい昼食、たまに夜食)は麺類生活なのだから、「ラ王」しょうゆ・ごま、「正麺」しょうゆ・ごまの計20食くらいまだ残暑のうちの9月中に食べ切るだろう。

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 ところがそれから毎日雨で、気温の低い日が続き、つけめんならまだしも冷やし中華にほとんど食指をそそられない。そそられないのに食べている。盛夏に較べきゅうりも8月上旬の倍値になったが、やはりハムだけではまださびしいので見切り品を買ってきた。ハムも20食相当分買ってあり、まだ開けないパックは冷凍庫に入れてある。それなのに台風は来るわで涼しい日が続き、結局さすがに毎日食べる気にはならず、スパゲッティやたぬきそばと交互に食べているのだが、賞味期間は来年1月~2月とはいえこれからどんどん涼しくなるのにまだ15食以上冷やし中華があるのだ。
 ラ王と正麺はどちらもフライ麺ではなく急速乾燥麺なので茹でればほぼ生麺になるから、タレはドレッシングにとっておいて、麺は冷やさず市販されているラーメン用スープを使ってラーメンにする(手っとり早いが割高)、中華スープで温麺にする、ソースまたは塩・胡椒で野菜と炒めて焼きそばにする、中華丼レトルトやジャージャー麺レトルトをかけて中華あんかけそばやジャージャー麺にする、などの食べ方もあるが、冷やし中華と名銘ってあるものを冷やし中華にしない食べ方というのもなんだか世間に取り残された感がある。いちばん楽なのはつけ麺でもいけるかどうかで、これなら添付たれも使える(麺の茹で汁で少し希釈するといいか)。刻みハムとシナチクがあればきゅうりは食べきりでいいだろう。
 ちなみにラ王と正麺の違いとは何か。分量はまったく同じで栄養成分もほとんど同じ。ラ王冷やし中華は茹で時間5分だが、正麺は2015年度製品から茹で時間4分に短縮になった。どちらもマルちゃんの旧冷やし中華に添付されていたような乾燥しょうが入りふりかけはついていない(あれは美味しかった)。正麺になくてラ王にあるもの、ベルマーク。以上。