人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

蜜猟奇譚・夜ノアンパンマン(53)

 で、どこがいつもと違うというのよ!?とドキンちゃんはむくれてふてくされました。ドキンちゃんの反応について言えば、これはいつものドキンちゃんばいきんまんに対する態度そのままでした。ばいきんまんは内心この糞ビッチと悪態をつきませんでしたが(畏れ多くも、誰がドキンちゃんにそんな侮辱を与えられますでしょうか)、観てよドキンちゃん、と、朝のパン工場のあちこちを監視カメラを切り替えて映し出しました。納屋ではジャムおじさんがせっせとバタコさんを凌辱している真っ最中でした。何よ、いつものことじゃない。というのは、ジャムおじさんはいい歳をしていまだに寝起きの勃起がありますので、身近なところでバタコさんを相手に出すものを出しておかないと、頭に血が上って仕事が手につかないのです。それがあまりに習慣化しているためにジャムおじさんの精力はオナニー盛りの中坊くらいありました。バタコさんが月経?で相手ができない時などは、仕事中にこねているパン生地の弾力にいてもたっても勃起してしまい、あろうことかパン生地にねじ込んでオナニーしてしまう、という失態すら犯しかねないので、月経の時でもあらゆる手段で(あらゆる手段です)ジャムおじさんの精力を抜いてあげるのがバタコさんの朝一番の役目なのです。
 次にカレーパンマンの部屋。パン工場にはカレーパンマンの部屋があり、カレーパンマンパン工場の仲間の一員です。ところがメロンパンナちゃんやクリームパンダちゃん同様、パン工場に部屋があるパン工場の仲間たちにも関わらず、カレーパンマンは必要な時にしか現れないのでした。いったい普段は何をしているのか、それはジャムおじさんアンパンマンにもわかりませんでした。それでもメロンパンナちゃんやクリームパンダちゃんよりは登場の頻度が高く、朝などはパジャマ姿のまま部屋から寝ぼけ顔で現れたりもします。しょくぱんまんにはトースター山のふもとの食パン工場があり、パン工場の仲間たちの中では唯一自立した存在とも言えました。
 そうよ、しょくぱんまんさまよ、とドキンちゃんは声を弾ませました、しょくぱんまんさまはどうなさっているの?
 しょくぱんまんさまはいちごミルクちゃんとせっせとカーセックスしていました。ドキンちゃんは黙ったままばいきんまんに向き直ると、ちょっ、ちょっと待ってドキンちゃんとの声も聞かずばいきんまんの額にピストルで風穴を空けました。