人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

あけまして年越しそば

イメージ 1

 このお正月に首都圏では2日・3日にTOKYO MX-TVでアニメ『SHIROBAKO』24話一挙放映という恐ろしいスペシャル番組がある。やはり3日の晩にアニメ『ガールズ&パンツァー』特別番組が同局で放映され、首都圏ならずとも全国地方局では同じプログラムが流れるかもしれない。『ガールズ&パンツァー』は2012年~2013年度、『SHIROBAKO』は2014年度~2015年度作品で、どちらも『クレヨンしんちゃん』三代目監督出身の水島努監督作品になる。2015年夏アニメの傑作『監獄学園』も同監督作品で、制作プロダクションは3作とも違うから作品の出来は水島監督の力量に負うところが大きいだろう。脚本・構成は『ガールズ&パンツァー』は『けいおん!』の吉田玲子さん、『SHIROBAKO』と『監獄学園』は横手美智子さんで、両氏にとっても最高の作品になっている。近年のアニメでは出色、評者によっては日本アニメ史に残る傑作とされているので、未見の方はこの機会にお勧めします。
 ただし『SHIROBAKO』の連続3時間(2日)はともかく連続9時間(3日)!はどうにかならなかったものか。均等に3~4日間に分けるわけにはいかなかったのだろうか。録画デッキを持っていない人間はテレビに貼りついているしかないではないか。いくら最高のアニメでもこれはつらいぞ。だが今回の本題はアニメではない(写真に写ってはいるが)のだった。

 大晦日、目を醒まして起き出すと時計は5時半だった。昨夜は普通の夜更かしだったとはいえ5時半ではもう夜になったも同然で、見ようとしていたDVDも読むつもりだった本、書くつもりだったブログ用の作文も間にあわない。買い物に出る計画も急遽いちばん近場に変更し、そこは他より割高なのだが仕方ない。寝起きで寝不足みたいにフラフラする。とりあえずコーヒーを飲んで服薬し、一服して少しでも外出のため、意識を覚醒させる。
 薄明かりの外階段を降りながら、紅白まであと1時間ちょっとか、大晦日の夕方6時ってこんな明るさと気候だったっけ、と妙な違和感に気づく。待てよ。確か携帯電話の時刻表示は24時間設定にしていたはずだが。なら今は夕方ではなくて早朝の6時か、とようやく違和感に合点がいった。朝と夕では明るさや気温が同じでも空気感、主に湿度が違う。結局昨夜予定していた通りに過ごせる大晦日になったが、まるで死刑執行が直前に猶予になったような脱力感に襲われる。今年も6時間きり、と思って目が醒めたら、それどころか無駄に早起きしてしまったのだから。当然ながら寝不足でもある。

 そこで本題に入ると今年いやもう昨年になるのだが、2015年の年越しそばはがんばった。大海老天を2尾も入れてある。麺は乾麺だが海老天はスーパーのお惣菜を買ってきたもので、12月上旬に買い冷凍しておいた。自然解凍で風味は落ちていない。それと好みだが、刻みネギとワカメは多いほど良い。
 大晦日前になるとスーパーの総菜部では突然海老天が高級品に変貌する。たいがい2尾パックで、粒も揃って普段の大海老天よりもさらに特大なのだが、この時のために選りすぐってあるのだろう。普段の価格の倍ほどになるのだ。それで毎年ホゾを噛んできたから、今年、じゃなかった昨年は、師走の初めからスーパーの総菜見切り時間に足を運んで、半額になったものを買ってきたのだった。これも2尾で120円で買えたので、大晦日直前には450円以下の海老天は売っていないからほとんど半額のさらに半額近い値段で海老天を調達できたことになる。このくらいでないと家計感覚のバランスが崩れる。しかもお正月にはお寿司!をいただく計画まで立てているのだ。

 しかし夕方までには疲れ果て、これでは紅白どころではないと6時に仮眠の床に就く。無駄に早起きしたのに気づいてからちょうど12時間経っていることになる。大晦日にしては温暖でありがたいが、それでも布団に入ると真冬を実感する。頭の芯が重くズキズキするようで、たぶん身体が入眠時の血圧変化で弛緩し、それが意識の状態に反映している。早い話が本格的に眠くて寝ぼけてきている。この眠気には逆らえない。ドアのポストに宅急便の不在配達票が入っている。いつ来たのか、まったく気がつかなかったぞ、と不審に思っていると布団から一歩も出ていないのに不在票を手にしている矛盾に気づく。なんだ夢じゃないか。眠ってしまった、今何時だ、と携帯電話を見ると、今度こそ2015年12月31日23時30分だった。トイレに立ち、水を一杯飲み、元旦付けのブログ作文を予約投稿してさっさと寝直した。
 元旦はまた午前5時半に目覚めるが、今度はたっぷり眠っているし、夕方だと勘違いするようなこともない。寝直して、目覚める直前まで、かなり持続時間の長く内容の一貫した夢を見ていた。他人の夢の話ほど面白くないものはないが、こんなにはっきりした内容の夢は年に何度もないし、しかもそれが初夢なのが、縁起などは信じなくてもあまり気分の良いものではない。ましてや願望の反映だと他人から言われようものなら冗談ではない。とにかくそうして無事に年は明け、猫が海老の尻尾を食べると腰を抜かすというが、ぬか喜びを絵に描いたような甘ったれた夢など見たのは海老天そばのせいかもしれない。今年で別れて10年目になる妻子と再会する夢だった。