人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

新・NAGISAの国のアリス(55)

 アリスは事情がわからないので立ちすくんでいるとクイーンが、ジャックや知らないガキがいるザマす。ですがジャックはお辞儀をするだけです。
 たわけ!とクイーンはジャックを叱るとアリスに、そこのガキ名前は?
 アリスと申します女王さま、とアリスは名乗りながら、ただのトランプじゃないの、ばからしい。
 するとクイーンは2と5と7を指して、ではあれは何ザンす?
 そんなのわかるわけないじゃない。
 クイーンはアリスをにらみつけ、このガキの首をちょん切るザンす!ちょん切るザンす!とわめきだしました。
 するとキングがほれほれ落ち着くダス、ほんのネンネじゃないダスか。
 クイーンは、おいジャック、こいつらをひっくり返すザマすと命令しました。2と5と7が起きると、すばやく周りにお辞儀をします。
 目が回るザンす。こいつらの首もちょん切るザマすよ!
 好きにはさせないわよ、とアリス。すると白ウサギがやってきて、良いお日和でとアリスにあいさつしました。
 そうね、とアリスは返し、そういえばあなたの公爵夫人は?
 しっ!と白ウサギは念を押すと、公爵夫人は死刑を言い渡されました。
 どうしたの?とアリス。
 どうしたもこうしたも、と白ウサギ、おいたわしや。
 それはわかったわ、とアリス、だから何があったの?
 女王さまをひっぱたいたのです。
 ぷぷっ!とアリスは吹き出しました。
 しーっ、女王さまに聞こえてしまう、と白ウサギは言うと、アリスと白ウサギはクイーンたちを振り返りました。
 ぜんぶ切ったザンすか?とクイーン。
 みんな首なしにいたしました、女王さま、とジャック。
 みなの者、位置に着くザンす!とクイーンが言いました。キングがアリスに手を差し出し、ジャックはクイーンのガードにつきます。トランプ王室の宮廷舞踏会が始まりました。
 ♪キングがお目見え
 クイーンがお目見え
 みんなで踊ろうこの森で
 みんなで踊ろうガボット
 優雅に踊れハートたち
 優雅に踊れハートたち
 今日も楽しくリズムに合わせ
 リズムに合わせてアリスも踊れ
 みんなで踊ろうこの森で
 みんなで踊ろうガボット
 ……みんなが踊り終えると、チェシャ猫がニヤニヤと木の上に姿を現しました。女王さまはどうかね?とチェシャ猫。何あれ!とアリス、めちゃくちゃよ。するとクイーンがアリスの背後にスッと立ちました。
 麗しいお方ですわ、とアリス。クイーンはにっこり笑うと、通り過ぎました。