人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

新・NAGISAの国のアリス(56)

 誰と話しているんダス?とキングがアリスに訊きました。友だちのチェシャ猫です、とアリス。チェシャ猫というダスか?はい、よろしくお見知りおきを、とアリス。
 変な顔をした猫ダスな、とキングは言いましたが、でも特別にワダスの手にキスをするのは許すダスよ。
 やめとくよ、とチェシャ猫。
 無礼な猫ダスな、そんな目でワダスを見ないでくれダス。そう言うと、キングはクイーンの背後に隠れました。
 猫に見られるのがそんなに嫌?とアリス。キングは居心地悪そうに、さっさとそいつを追い払うダス。そしてクイーンや、あの猫を追い払って欲しいダス、と言いました。
 首をちょん切るザマす!とクイーン。首切りを呼ぶダス、とキング。ジャックが、おーい処刑人、と呼びました。お呼びですか、と首切り刑吏がやってきました。
 さっさとあの猫の首を切るダス!とキング。処刑人はちらと見て、無理ですな。クイーンは驚愕して、なぜザンす?
 首を切ろうにも顔しかない、切り離す体がないじゃないですか、と処刑人。そんな斬首は、これまでにしたこともないですし、やろうとも思いません。
 なんで首切りが役目の男が、とクイーン、首を切れないとぬかすザンす?なぜでしょう、とみんなも言いました。
 いいや昔はあの男は、とキング、頭があれば切れると言ったダス。頭があれば切れるはず、とみんなも言いました。
 こんな話はたくさんザマす!とクイーンは激怒して、だったらお前から処刑するザンす!首を切るのが役目の男が首を切れないとぬかすなら、そいつを処刑するザンす!
 カードたちはクイーンの命令でそそくさと退去し始めました。ですがクイーンはアリスに、ウミガメモドキには会ったザンすか?
 いいえ、とアリスは言いました、ウミガメモドキって何ですか?
 ウミガメ風スープの素のことザンす、とわかりきったことのように、クイーン。そんなの見たことも聞いたこともないわ、とアリス。するとクイーンは、グリフォンに案内させるザマす、と言いました。
 お呼びですか、とグリフォン。おおグリフォン、このガキをウミガメモドキのところに案内するザマす、とクイーン。ミーは命じた処刑を見届けてくるザンすよ。そう言うとクイーンは去りました。
 笑わせるぜ!とグリフォン
 何が?とアリス。
 あのザマすさ、とグリフォン、あいつひとりがそう思っているだけで、誰も処刑なんてしやしないのさ。……よう、ウミガメモドキ。