人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

Sun Ra - The Antique Blacks (Saturn, 1974)

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Sun Ra - The Antique Blacks (Saturn, 1974) Full Album : http://www.youtube.com/playlist?list=PLs5recMXJ2kSNyVxzjzER7K2st-REBi6Q
Recorded live at Philadelphia for Radio Broadcast, August 17, 1974
Released by El Saturn Records 81774, 1974
All composed and arranged by Sun Ra.
(Side A)
A1. Song No.1 - 8:51
A2. There Is Change In The Air - 10:58
A3. The Antique Blacks - 3:39
(Side B)
B1. This Song Is Dedicated To Nature's God - 3:58
B2. The Ridiculous "I" And The Cosmos Me - 4:43
B3. Would I For All That Were - 2:56
B4. Space Is The Place - 8:10
[ Sun Ra & His Myth Science Solar Arkestra ]
Sun Ra - rocksichord keyboards, mini moog synthesizers , vocals, declamation voice
Akh Tal Ebah - trumpet, vocals
Danny Davis - alto saxophone
Marshall Allen - alto Saxophone, percussion, vocals
John Gilmore - tenor Saxophone, percussion, vocals
James Jackson - bassoon, percussion, vocals
Sly (Dale Williams) - electric guitar
Clifford Jarvis - drums, vocals
Atakatune (Stanley Morgan) - congas
(Original El Saturn "The Antique Blacks" LP Liner Cover)

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 本作は以前掲載したリストではスタジオ・アルバムに分類しましたが、スタジオ録音ではあるもののフィラデルフィアのラジオ局での放送用公開スタジオ・ライヴです。B4の「Space Is The Place」以外はタイトル上は初出の新曲ですが、ライヴ用のインプロヴィゼーションに曲名をつけたもの、とも思われます。1974年2月~3月にメキシコ・ツアーを行ったサン・ラ・アーケストラは立て続けにライヴ録音を残しており、本作に先立ってサターン・レーベルからのアルバムでニューヨークのハンター・カレッジでのライヴ『Out Beyond The Kingdom Of』('74年6月16日録音)があり、本作に続くサターン・レーベル作品には9月録音の『Sub Underground』があります。これらはシカゴのマネジメントが運営していた従来のサターン・レーベルとは別に、バンド自身が'74年の春にフィラデルフィアで立ち上げた新サターン・レーベルからの作品でした。
 後年の発掘ライヴとしては'74年のアン・アーバー・ブルース&ジャズ・フェスティヴァルのライヴ『It Is Forbidden』(2001年発売)、12月のサンフランシスコ公演のライヴ『Dance Of The Living Image』(2007年発売)がありますが、特筆すべきは1974年度のライヴには1974年~1979年在籍の、アーケストラ初のレギュラー・ギタリスト、スライことデイル・ウィリアムズの爆裂ファズ・ギター・ソロがフィーチャーされた演奏が聴けることです。ただし発掘ライヴ2作の方がギター・ソロのフィーチャー度が高く、この時期のデイル・ウィリアムズの貢献度が注目されるようになったのも『It Is Forbidden』の発掘発売以降のことでした。本作『The Antique Blacks』はアーケストラにしては小編成で歌姫ジューン・タイソンの参加もなく、またもやベースレス編成でサン・ラのプレイはエレクトリック・ピアノ系のロックシコード・キーボードの上、ラジオ用放牧音源だからかレンジの狭い録音がややバンド全体のスケールをこぢんまりとさせています。楽曲もファンク・リズム中心です。しかしアンサンブルに切り込むデイル・ウィリアムズの狂暴なファズ・ギターは同時期のマイルス・デイヴィスのバンドのピート・コージーを凌ぐ破天荒なもので、ロックなサン・ラを楽しむにはコンパクトにまとまった好盤に上げられます。サン・ラがこのギタリストにどういう指示を出していたかを考えると、アーケストラの音楽性の幅広さにはつくづく感心させられます。
(Original El Saturn "The Antique Blacks" LP Alternate Cover & Side A Label)

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