映画日記2017年11月4日~6日/ラオール・ウォルシュ(Raoul Walsh, 1887-1980)の活劇映画(2)
前回の3作『リゼネレーション(更正)』'15、『バグダッドの盗賊』'24、『ビッグ・トレイル』'30はいずれもアメリカ国立フィルム登録簿登録作品、つまり国定保存映画作品として永久保存の価値が認められた作品でした。しかしそれらが歴史的価値と内容的価値の両方で認められたとしても、映画として面白くてたまらない作品というならラオール・ウォルシュにはもっと後年に純粋に娯楽映画として監督した楽しい作品が山ほどあります。『ビッグ・トレイル』の完成度はトーキーが実用化されてわずか2年ほどの作品ながら同時代の初期トーキー映画の水準を思うとずば抜けたもので、サイレント映画を15年以上撮ってきた監督が映画のトーキー化にすんなり移行できた例としては驚くべきものでした。同世代の多くの監督がトーキーに手こずる中でウォルシュがなぜ突出していたかは映画史の研究者に解明していただきたい話題ですが、サイレント時代にヒットメーカーだったウォルシュはトーキー以降も順調に監督作を送り出します。監督デビュー1913年、引退作品1964年、全監督作品138本という多作な監督ですしサイレント時代の作品にはフィルムが現存していないものもあり、全貌を知るのは不可能ながら、おおよそウォルシュ作品がもっとも充実していた時期は1930年前後~1950年代半ばのほぼ25年間(!)と思われます。今回からはその時期のウォルシュ作品を観ていきます。
『彼奴(きやつ)は顔役だ!』The Roaring Twenties (ワーナー'39)*107min, B/W; 日本公開1955年(昭和30年)6月
[ 解説 ] 「裸の街」のプロデューサー、故マーク・ヘリンジャーの原作を「機動部隊」のジェリー・ウォルド、ロバート・ロッセン、それにリチャード・マコーレイの3人が共同脚色し「愛欲と戦場」のラウール・ウォルシュが監督、「カーニバルの女」のアーネスト・ホーラーが撮影を担当した。主なる出演者は「追われる男」のジェームズ・キャグニー、「裸足の伯爵夫人」のハンフリー・ボガート、「毒薬と老嬢」のプリシラ・レーン、「探偵物語」のグラディス・ジョージ、「三人の妻への手紙」のジェフリー・リン、「猿人ジョー・ヤング」のフランク・マクヒュー、など、音楽はレオ・F・フォーブステインの担当。1939年作品。
[ あらすじ ] 第一次大戦も終局に近いフランス戦線で、3人のアメリカ兵が帰還後の方針を語り合っていた。再びガレージで自動車の整備工として返り咲こうというエディ(ジェームズ・キャグニー)、酒場に戻るジョージ(ハンフリー・ボガート)、弁護士になりたいと遠大な希望を抱くロイド(ジェフリー・リン)がそれだ。中でもエディは、いつも慰問文をよこすジーンという女性に会えると思うと胸がときめいた。しかし、エディの後釜には他の男が雇われており、復職できぬ傷心の彼が慰問文の主ジーン(プリシラ・レーン)を訪ねると、彼女はまだ10代の高校生だった。その後、旧友のタクシー運転手ダニー(フランク・マクヒュー)から運転手の口にありついたエディはナイトクラブの経営者パナマ・スミス(グラディス・ジョージ)への密造酒の配達から一時刑務所入りするが、彼女は出所したエディを手先に使い、たちまち一財産を作り上げる。3年が経ち、エディはかつての戦友ロイドを迎え、美しく成長してショーガールになっていたジーンをパナマのナイトクラブへ世話する。エディはジーンに想いをよせるが、彼女はエディの法律顧問のロイドに夢中だった。敵対するボス、ブラウン(ポール・ケリー)の配下になっていたジョージを相棒かつブラウン側の内通者にして金持ちになったエディもブラウンとの抗争からダニーを殺され、報復にブラウンを暗殺した事からジョージと喧嘩別れして落目となり、再び無一文になった。それから5年。 堅気になったロイドと結婚しているジーンの前に、今は顔役のジョージの子分がロイドの担当する案件について脅迫に現れる。思い余ってジーンはエディに救いを求めた。昔の愛人の幸福のためエディはジョージを倒すが、路上でハリーの子分から背後にピストルを射込まれ、駆けつけたパナマの腕の中で息絶える。
●11月5日(日)
『暗黒の命令』Dark Command (リパブリック'40)*93min, B/W; 日本公開1952年(昭和27年)4月
[ 解説 ] 「潜航決戦隊」のW・R・バーネットの原作小説に基づき、「海洋児」のグローヴァー・ジョーンズ、「令嬢画伯」のライオネル・ハウザー、「われら自身のもの」のF・ヒュー・ハーバートの3人が共同脚色し、「大雷雨」のラウール・ウォルシュが監督した1939年度作品。撮影は「ダコタ高原」のジャック・マータ、音楽監督はヴィクター・ヤング。主演は「キー・ラーゴ」のクレア・トレヴァーと「リオ・グランデの砦」のジョン・ウェインで、「赤きダニューブ」のウォルター・ピジョン、「愛馬トリッガー」のロイ・ロジャース、ジョージ・ギャビー・ヘイス、ポーター・ホール、マージョリー・メインらが助演している。
[ あらすじ ] 19世紀、南北戦争の起こる前のこと。ボブ(ジョン・ウェイン)はグランチ(ジョージ・ギャビー・ヘイス)と共に、新天地を求めてカンサスに来た。ボブはフレッチ(ロイ・ロジャース)と知り合い、その姉メアリー(クレア・トレヴァー)に惹かれて結婚を申し込んだが、にべもなく断られる。町に保安官の選挙があり、メアリーの恋人の学校教師クアントリル(ウォルター・ピジョン)が立候補していることを知ったボブは自らも立候補して文盲にもかかわらず当選し、クアントリルは憤って母(マージョリー・メイン)の制止も聞かず夜盗の親玉になり街を荒らし始める。その頃、南北戦争が勃発する。フレッチの父マクラウド(ポーター・ホール)は銀行家だが、私腹を肥やしているという噂のためにフレッチは父を侮辱した市民ヘイル(トレヴァー・バーデット)に激怒して銃殺し、クアントリルの民衆を煽動する弁論がかえってフレッチを無罪にするが、クアントリルの夜盗団はますます活動を激化して町を不安に陥れ、市民の怒りは銀行家マクラウドに向かい、マクラウドは暴徒の殺到の中、暗殺される。フレッチはすべてボブの仕業だと思い、仇討ちを決意してクアントリルの一味に加わる。メアリーはクアントリルと結婚したが、彼女が苦境に立った時、助けてくれたのはボブだった。クアントリルは、ボブを幽閉する。それを知ったフレッチはボブの潔白を知り、彼を救い出して脱出する。クアントリルは籠城し、ボブとスレッチは包囲するが、クアントリルの母はメアリーを逃がしてクアントリルを射殺しようとしてライフルの暴発で死亡し、追い詰められたクアントリルはボブとの一騎打ちで斃れる。かくしてメアリーとボブはフレッチとともに、新しい生活を求めてテキサスに旅立つ。
●11月6日(月)
『ハイ・シェラ』High Sierra (ワーナー'41)*100min, B/W; 日本公開1988年(昭和63年)12月
[ 解説 ] 心の底で汚れない愛と自由を求めたヒューマンな犯罪者の姿を描く。エグゼクティヴ・プロデューサーはハル・B・ウォリス、監督はラウール・ウォルシュ、原作・脚本はW・R・バーネット、共同脚本はジョン・ヒューストン、撮影はトニー・ゴーディオ、音楽はアドルフ・ドイッチェが担当。出演はハンフリー・ボガート、アイダ・ルピノほか。
[ あらすじ ] インディアンの農家の息子から凶悪な銀行強盗犯となったロイ・アール(ハンフリー・ボガート)は、8年ぶりに特赦で出所し、仲間のビッグ・マック(ドナルド・マクブライド)がお膳立てしているロスの高級リゾート・ホテルの強盗の片棒を担ごうとしていた。若い手下のベイブ・コサック(アラン・カーティス)とレッド・ハタリー(アーサー・ケネディ)の待つキャンプ場へ到着したロイは、彼らが一緒に連れて来た娘マリー・ガーソン(アイダ・ルピノ)が邪魔で仕方ない。また強盗の手引きをするフロント係のメンドーサ(コーネル・ワイルド)が怖気づいている様子も気にかかる。そんなロイだったが、道中のガンリンスタンドで出会ったグッドヒュー老夫婦(ヘンリー・マクヒュー、エリザベス・リスドン)の孫娘ヴェルマ(ジョーン・レスリー)に愛情を抱き、足の悪い彼女の手術代の捻出を申し出る。果たして強盗決行、ロイはパトロール中の警官を射殺、逃亡の際にベイブとレッドは運転をあやまり事故死し、ビッグ・マックも心臓発作で死亡、襲ってきた部下のジェイク(バートン・マクレイン)をロイは射殺、彼も傷を負いながらマリーと逃亡する。ロイは「狂犬ロイ・アール」として指名手配される。その途中、全快したヴェルマのもとを訪れたロイは、彼女から婚約者を紹介されてヴェルマへの愛を断ち切り、かねてから彼に寄せられていたマリーの愛情に応える。マリーをバスに乗せ彼女と別れたロイは、車で逃走中強盗で資金稼ぎをし警察の非常線にかかってしまう。ハイ・シェラに追いつめられたロイは、報を知り駆けつけたマリーの見守る中、狙撃手に撃たれ息絶える。

『彼奴(きやつ)は顔役だ!』The Roaring Twenties (ワーナー'39)*107min, B/W; 日本公開1955年(昭和30年)6月


[ 解説 ] 「裸の街」のプロデューサー、故マーク・ヘリンジャーの原作を「機動部隊」のジェリー・ウォルド、ロバート・ロッセン、それにリチャード・マコーレイの3人が共同脚色し「愛欲と戦場」のラウール・ウォルシュが監督、「カーニバルの女」のアーネスト・ホーラーが撮影を担当した。主なる出演者は「追われる男」のジェームズ・キャグニー、「裸足の伯爵夫人」のハンフリー・ボガート、「毒薬と老嬢」のプリシラ・レーン、「探偵物語」のグラディス・ジョージ、「三人の妻への手紙」のジェフリー・リン、「猿人ジョー・ヤング」のフランク・マクヒュー、など、音楽はレオ・F・フォーブステインの担当。1939年作品。
[ あらすじ ] 第一次大戦も終局に近いフランス戦線で、3人のアメリカ兵が帰還後の方針を語り合っていた。再びガレージで自動車の整備工として返り咲こうというエディ(ジェームズ・キャグニー)、酒場に戻るジョージ(ハンフリー・ボガート)、弁護士になりたいと遠大な希望を抱くロイド(ジェフリー・リン)がそれだ。中でもエディは、いつも慰問文をよこすジーンという女性に会えると思うと胸がときめいた。しかし、エディの後釜には他の男が雇われており、復職できぬ傷心の彼が慰問文の主ジーン(プリシラ・レーン)を訪ねると、彼女はまだ10代の高校生だった。その後、旧友のタクシー運転手ダニー(フランク・マクヒュー)から運転手の口にありついたエディはナイトクラブの経営者パナマ・スミス(グラディス・ジョージ)への密造酒の配達から一時刑務所入りするが、彼女は出所したエディを手先に使い、たちまち一財産を作り上げる。3年が経ち、エディはかつての戦友ロイドを迎え、美しく成長してショーガールになっていたジーンをパナマのナイトクラブへ世話する。エディはジーンに想いをよせるが、彼女はエディの法律顧問のロイドに夢中だった。敵対するボス、ブラウン(ポール・ケリー)の配下になっていたジョージを相棒かつブラウン側の内通者にして金持ちになったエディもブラウンとの抗争からダニーを殺され、報復にブラウンを暗殺した事からジョージと喧嘩別れして落目となり、再び無一文になった。それから5年。 堅気になったロイドと結婚しているジーンの前に、今は顔役のジョージの子分がロイドの担当する案件について脅迫に現れる。思い余ってジーンはエディに救いを求めた。昔の愛人の幸福のためエディはジョージを倒すが、路上でハリーの子分から背後にピストルを射込まれ、駆けつけたパナマの腕の中で息絶える。

●11月5日(日)
『暗黒の命令』Dark Command (リパブリック'40)*93min, B/W; 日本公開1952年(昭和27年)4月

[ 解説 ] 「潜航決戦隊」のW・R・バーネットの原作小説に基づき、「海洋児」のグローヴァー・ジョーンズ、「令嬢画伯」のライオネル・ハウザー、「われら自身のもの」のF・ヒュー・ハーバートの3人が共同脚色し、「大雷雨」のラウール・ウォルシュが監督した1939年度作品。撮影は「ダコタ高原」のジャック・マータ、音楽監督はヴィクター・ヤング。主演は「キー・ラーゴ」のクレア・トレヴァーと「リオ・グランデの砦」のジョン・ウェインで、「赤きダニューブ」のウォルター・ピジョン、「愛馬トリッガー」のロイ・ロジャース、ジョージ・ギャビー・ヘイス、ポーター・ホール、マージョリー・メインらが助演している。
[ あらすじ ] 19世紀、南北戦争の起こる前のこと。ボブ(ジョン・ウェイン)はグランチ(ジョージ・ギャビー・ヘイス)と共に、新天地を求めてカンサスに来た。ボブはフレッチ(ロイ・ロジャース)と知り合い、その姉メアリー(クレア・トレヴァー)に惹かれて結婚を申し込んだが、にべもなく断られる。町に保安官の選挙があり、メアリーの恋人の学校教師クアントリル(ウォルター・ピジョン)が立候補していることを知ったボブは自らも立候補して文盲にもかかわらず当選し、クアントリルは憤って母(マージョリー・メイン)の制止も聞かず夜盗の親玉になり街を荒らし始める。その頃、南北戦争が勃発する。フレッチの父マクラウド(ポーター・ホール)は銀行家だが、私腹を肥やしているという噂のためにフレッチは父を侮辱した市民ヘイル(トレヴァー・バーデット)に激怒して銃殺し、クアントリルの民衆を煽動する弁論がかえってフレッチを無罪にするが、クアントリルの夜盗団はますます活動を激化して町を不安に陥れ、市民の怒りは銀行家マクラウドに向かい、マクラウドは暴徒の殺到の中、暗殺される。フレッチはすべてボブの仕業だと思い、仇討ちを決意してクアントリルの一味に加わる。メアリーはクアントリルと結婚したが、彼女が苦境に立った時、助けてくれたのはボブだった。クアントリルは、ボブを幽閉する。それを知ったフレッチはボブの潔白を知り、彼を救い出して脱出する。クアントリルは籠城し、ボブとスレッチは包囲するが、クアントリルの母はメアリーを逃がしてクアントリルを射殺しようとしてライフルの暴発で死亡し、追い詰められたクアントリルはボブとの一騎打ちで斃れる。かくしてメアリーとボブはフレッチとともに、新しい生活を求めてテキサスに旅立つ。

●11月6日(月)
『ハイ・シェラ』High Sierra (ワーナー'41)*100min, B/W; 日本公開1988年(昭和63年)12月

[ 解説 ] 心の底で汚れない愛と自由を求めたヒューマンな犯罪者の姿を描く。エグゼクティヴ・プロデューサーはハル・B・ウォリス、監督はラウール・ウォルシュ、原作・脚本はW・R・バーネット、共同脚本はジョン・ヒューストン、撮影はトニー・ゴーディオ、音楽はアドルフ・ドイッチェが担当。出演はハンフリー・ボガート、アイダ・ルピノほか。
[ あらすじ ] インディアンの農家の息子から凶悪な銀行強盗犯となったロイ・アール(ハンフリー・ボガート)は、8年ぶりに特赦で出所し、仲間のビッグ・マック(ドナルド・マクブライド)がお膳立てしているロスの高級リゾート・ホテルの強盗の片棒を担ごうとしていた。若い手下のベイブ・コサック(アラン・カーティス)とレッド・ハタリー(アーサー・ケネディ)の待つキャンプ場へ到着したロイは、彼らが一緒に連れて来た娘マリー・ガーソン(アイダ・ルピノ)が邪魔で仕方ない。また強盗の手引きをするフロント係のメンドーサ(コーネル・ワイルド)が怖気づいている様子も気にかかる。そんなロイだったが、道中のガンリンスタンドで出会ったグッドヒュー老夫婦(ヘンリー・マクヒュー、エリザベス・リスドン)の孫娘ヴェルマ(ジョーン・レスリー)に愛情を抱き、足の悪い彼女の手術代の捻出を申し出る。果たして強盗決行、ロイはパトロール中の警官を射殺、逃亡の際にベイブとレッドは運転をあやまり事故死し、ビッグ・マックも心臓発作で死亡、襲ってきた部下のジェイク(バートン・マクレイン)をロイは射殺、彼も傷を負いながらマリーと逃亡する。ロイは「狂犬ロイ・アール」として指名手配される。その途中、全快したヴェルマのもとを訪れたロイは、彼女から婚約者を紹介されてヴェルマへの愛を断ち切り、かねてから彼に寄せられていたマリーの愛情に応える。マリーをバスに乗せ彼女と別れたロイは、車で逃走中強盗で資金稼ぎをし警察の非常線にかかってしまう。ハイ・シェラに追いつめられたロイは、報を知り駆けつけたマリーの見守る中、狙撃手に撃たれ息絶える。
