人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

SPK - Information Overload Unit (Side Effects, 1981)

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SPK - Information Overload Unit (Side Effects, 1981) Full Album : http://www.youtube.com/playlist?list=PLQF0YKXuNBjzKuVAkjOxQ1q3bDiPT-t1I
Recorded in London, 1980
Released by Side Effects ser01, 1981
Produced by SPK
(Side A)
A1. Emanation Machine R. Gie 1916 - 5:24
A2. Suture Obsession - 5:06
A3. Macht Schrecken - 5:19
A4. Beruftverboet - 5:31
(Side B)
B1. Ground Zero: Infinity Dose - 4:18
B2. Stammheim Torturkammer : https://youtu.be/ipZ0LI3QfdU - 4:33
B3. Retard - 4:26
B4. Epilept: Convulse - 2:33
B5. Kaltbruchig Acideath : https://youtu.be/EUBkf83u8Pg - 4:32
[ System Planning Korporation ]
According to the band's official website
Operator (Graeme Revell) - synthesizers, rhythms, treatments, vocals
Wilkins - guitar, bass, tapes, vocals
Tone Generator - synthesizers, treatments
Mr. Clean - technician

(Reissued Mute/Grey Area "Information Overload Unit" CD Over & Liner Cover)

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 オーストラリア出身のSPKについては、日本語版ウィキペディアの解説でほぼ概要が尽くされているでしょう。以下引用します。

[ SPK(バンド) ]
SPK(エスピーケー)とは1978年にオーストラリア・シドニーで結成された音楽グループである。初期のノイズ・インダストリアル音楽に多大な影響を与えたグループである。

○基本データ
SPK
出身地 / オーストラリア
ジャンル / ノイズミュージック、インダストリアル
活動期間 / 1978年 - 1988年
レーベル / インダストリアル・レコード、サイド・エフェクト、M-Squared Records、ノーマル、Thermidor、エレクトラ、ワーナー、Mute/Grey Area、Nettwerk、Animalized、Regular
○メンバー / グレアム・レベル(シンセサイザー、ボーカル)
シーナン・レオン(ボーカル)
○旧メンバー / ニール・ヒル(ボーカル、シンセサイザー、テープ)、デヴィッド・ヴァージン(ギター)、ダニー・ルーモア(ベース)、マーク・ボズウェル(ドラム)、ウィルキンス(ギター、ベース)、トーン・ジェネレーター、Mr.Clean、Kitka(ボーカル)、マーガレット・ヒル(ボイス)、Charlyiev(ギター、シンセサイザー)、ピンカー(ドラム)、TVジェネレーター、カレル・ファン・ベルゲン、ジョン・マーフィー、ブライアン・ウィリアムズ、デレク・トンプソン(トランペット、キーボード)、メアリー・ブラッドフィールド・テイラー、サム・マクナリー(シンセサイザー)、ジェフ・バルトロマイ(シンセサイザー)、ジャン・ソーントン(ボーカル)、カリーナ・ヘイズ(ボーカル)

◎プロフィール
シドニーの精神病院に勤務していた看護人のグレアム・レベルと、彼の患者であったニール・ヒルが1978年に結成した。
○1980年代にはさまざまなインダストリアル・ノイズ系のアーティストが世界中で活躍したが、このSPKの登場はまさに「本物」である狂気を見せつけたという点で、今日でも「伝説」として語られるグループである。歌詞は「死」「狂気」「戦争」「絶望」などをテーマとしたネガティヴな作品ばかりであり、サウンドの方もテープ操作や金属音・破壊音などを用いておおいに歪んだ編集をされており、同時代の音楽にはまったく見られなかったスタイルであった。
○グループ名はドイツのハイデルベルク大学に存在した"Sozialistisches Patienten Kollektiv"(「社会主義患者集団」)に由来するが、『Information Overload Unit』では"System Planning Korporation"、『Leichenschrei』では"Socialistisches Patienten Kollektiv"、EP「Dekompositiones」(1983年)では"SePpuKu"と表記されていることから、言葉遊びという一面も見られる。一般的には"SPK"という略称が用いられた。
○グレアムはもともとフレンチ・ホルンとピアノを演奏することができ音楽の素養があったため、このグループではキーボード等を担当し、ニールは主にボーカルを担当し、当時「Sekret Sekret」というグループで活動していたデヴィッド・ヴァージンとダニー・ルーモアの4人で、1979年には数枚のシングルを発表した。
○1980年になるとデヴィッドとダニーは脱退し、グレアムとニールの仲違いによりグレアムはロンドンでレコーディングを進め、ニールはオーストラリアで活動していった。グレアムはアルバムの制作のために、マイク・ウィルキンス(ギター担当)とトーン・ジェネレーター(シンセサイザー担当)、そしてグレアムの弟であるミスター・クリーン(本名は「アシュリー・レベル」)をメンバーとし、『インフォメーション・オーバーロード・ユニット』を発表。 その頃ニールはオーストラリアでSPKとして活動しており、1枚のシングルを発表した。この頃はロンドンとオーストラリアで2つのSPKがあった事となる。
○1982年、ニールはグレアムと再度活動し、ドラム、パーカッション担当のジェームス・ピンカーの3人で『Leichenschrei』を発表。その後ライブ公演を何度か行い、一部の公演は映像に収められ、『Despair』というタイトルでビデオとして発売された。『Leichenschrei』をリリースするまでの間はニール・ヒルのアイデアを作品としてまとめることができた。しかし、グループの音楽性に相違が生じ、ニールはグループを去ることとなった。グレアムはニール脱退後もSPKとしてライブを行っていた。
○ニールはその頃、オーストラリアで「KPS」というグループを結成したが、1984年にニールが自殺することにより、当然彼がKPSを活動する事もSPKに復帰する事もあり得なくなったわけだが、グレアムは女性ボーカルのシーナンを加え、よりポップな方向性に転換し、ワーナーから 『Machine Age Voodoo』を発表し、それまでのノイズを主体とした曲を全く演奏せず、古くからのSPKのファンはこの音楽性の変化に戸惑うばかりであった。それからもメンバーを入れ替えたり、いくつかのアルバムを発表していったが、ニールという音楽概念の中心を失ったグループは求心力を失い、やがて解散することとなる。
○ニール・ヒルの自殺について、精神病患者というプロフィールや音楽性から、数多くのネガティブでダークな噂や憶測をされているが事実とは異なる。実際は「恋人に先立たれて後追い自殺した。」という、まるで純愛ドラマのような理由であることをグレアムは語っている。(ペヨトル工房の『銀星倶楽部14 オルタネイティブ・ミュージック』参照。)恋人の死亡原因はダイエット薬の過剰摂取だった。なお、それ以降のグレアム・レベルは、多数のハリウッド映画においてサウンドトラックを作成・担当しており、音楽界で成功を収めている。
シンコーミュージックから1984年に出版された水上はるこ著『青春するロンドン』に当時の生のSPKの様子が詳しく掲載されている。水上はるこは当時Some Bizzareなどのインディーズ・レーベルに出入りしており、SPKをはじめ、当時ロンドンで活動していたインダストリアル系やニューウェーブ系アーティストの周辺にいた者でしか知り得ないような情報をこの本の中で多数紹介している。

○メンバー
>1978年
EMS AKS(グレアム・レベル) / シンセサイザー、ボイス、テープ
Ne/H/il(ニール・ヒル) / EMS synthi AKS、ボーカル、リズム、テープ
Danny Rumour / ギター
David Virgin / ベース
Mark Boswell / ドラム
>1980年~1981年
Operator(グレアム・レベル) / シンセサイザー、リズム、治療、ボーカル
Wilkins(マイク・ウィルキンス) / ギター、ベース、テープ、ボーカル
Tone Generator / シンセサイザー、治療
Mr.Clean テクニシャン
○1981年 / グレアムはアメリカで活動していたが、ニールはこの時期オーストラリアで活動していたため、2つのSPKがあった事になる。
Kitka / ボーカル
Sushi(マーガレット・ヒル) / ボーカル
Charlyiev(Paul Charlier) / ギター、ベース、シンセサイザー、ボイス
Skorne(ニール・ヒル) / EMS synthi AKS、リズム、ベース、治療
>1982年
Oblivion(グレアム・レベル) / シンセサイザー、リズム、テープ、ボーカル
Ne/H/il / リズム、テープ、治療、ボーカル
Pinker(ジェームス・ピンカー) / ドラム、メタル・パーカッション
<ライブのみの参加>
TV Generator
Karel van Bergan
Dominik Guerin
John Murphy
Brian Williams
>1983年
Sinan(シーナン・レオン) / ボーカル
Graem Revell / シンセサイザー、メタル・パーカッション
Derek Thompson / トランペット、キーボード、メタル・パーカッション
1984
Sinan / ボーカル
Graem Revell / シンセサイザー
Mary Bradfield-Taylor / バッキング・ボーカル
Sam McNally / シンセサイザー
Jeff Bartolomei / シンセサイザー
>1985年
Sinan / ボーカル
Graem Revell / シンセサイザー
>1986年
Sinan / ボーカル
Graem Revell / シンセサイザー、チェロ、コンピューター
Jan Thornton / ボーカル
>1987年
Graeme Revell / シンセサイザー、プログラミング、ボイス
Sinan / ボーカル
Karina Hayes / ボーカル

○グループ名
SPK
Surgical Penis Klinik
SoliPsiK
System Planing Korporation
Sozialistisches Patienten Kollektiv
Socialistisches Patienten Kollektiv
SepPuKu
s.p.k.

○アルバム
・Information Overload Unit (1981年)
・Leichenschrei (1982年)
・Auto Da Fe' (1983年/改訂版1993年)
・Machine Age Voodoo (1984年)
・Zamia Lehmanni: Songs of Byzantine Flowers (1986年)
・Digitalis Ambigua: Gold & Poison (1987年)
・Oceania (1988年)
○シングル
・No More/Kontakt/Germanik (1978年)
・Factory/Retard/Slogun (1979年)
・Mekano/Kontakt/Slogun (1979年)
・Surgical Penis Klinik - Meat Processing Section (1980年)
・SoliPsiK - See-Saw/Chambermusik (1981年)
・SePpuKu - Dekompositiones (1983年)
・Metal Dance (1983年)
・Junk Funk (1984年)
・Flesh And Steel (1985年)
・In Flagrante Delicto (1986年
・Off The Deep End (1987年)
・Breathless (1987年)

(Original Side Effects "Information Overload Unit" LP Liner Cover & Side A/B Label)

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 以上、日本語版ウィキペディアから一部修正を加えて引用しましたが、この解説の通りSPKはニール・ヒル在籍時の初期3作『Information Overload Unit』『Leichenschrei』『Auto Da Fe'』でSPKのオリジナル・コンセプトの時代は終わり、『Machine Age Voodoo』からの4作はグレアム・リーヴェルのソロ・プロジェクトと見るのが妥当だと思います。初期3作でもファースト・アルバム『Information Overload Unit』にはニール・ヒルが録音に参加していませんがコンセプトはヒルとリーヴェルが核となったものであり、『Auto Da Fe'』は1978年~1979年のシングルに1981年の未発表録音を合わせたもので(1993年の改訂版CDではSePpuKu名義の1982年録音・1983年リリースのEP「Dekompositiones」収録の3曲が追加されています)、『Information~』以前とヒルの全面参加した唯一のアルバム『Leichenschrei』以降をつなぐコンピレーション・アルバムになっています。『Auto Da Fe'』収録の初期シングル曲を聴くとSPKも当初はパンク・ロックにドイツの実験的エレクトロニック・ロック(カン、クラフトワーク、ノイ!など)の影響を加えたロック・バンドだったのがわかります。
... 本作はA1からとんでもない轟音が飛び出してくるので一見音楽の体をなしていないようですが(ここまで極端なノイズ作品はめったにないでしょう)、よく聴くと自然倍音と発信音の振幅がドミナント進行の和声と4/4の定型リズムを形成していく様子がわかります。A2やA4、B2やB4などヴォーカルらしいヴォーカル(とはいえ絶叫だったり、がなり声や呻き声ですが)をフィーチャーしている曲ではA2やA4は8ビートのロック、B2やB4は16ビートのファンクが楽曲の基本構造であり、和声のドミナント進行と4/4の基本リズムはアルバム全編を貫いています。ただしあまりにノイジーで楽器らしい楽器が使われず、音楽らしい音楽になることを頑として拒絶するような異様なミキシング・バランスと徹底した音色の加工がされているため、これを音楽として楽しむにはまず音色やバランスの異常さに慣れなければ和声やリズムが聴こえてこない。ただし和声やリズム構造が聴こえてくるようになればこのアルバムの巧妙さは驚くべきものです。アイディアの豊富さと楽器構成の絶妙なセンス、独創性では本作は完璧にして途方もない完成度に達しているアルバムであり、これが突然の産物でないのは創設メンバーのグレアム・リーヴェルとニール・ヒルの両者が揃った初期シングル曲が叩き台となって生まれたことが『Auto Da Fe'』を聴くと納得でき、アルバム第2作『Leichenschrei』がようやくヒルの全面参加がかなったことで本作すら遥かにしのぐ大傑作になり、しかもそれがリーヴェル=ヒルのコンビによる最後のSPKのアルバムになってそれまでのアルバム未収録曲集『Auto Da Fe'』が編まれた(そして翌年ヒルは自殺)、とは出来すぎていますが、SPKはそういう運命をたどった存在でした。最後にオリジナルLP付属のブックレットを載せておきましょう。

(Original Side Effects "Information Overload Unit" LP Inner Booklet)

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