ようやく昨日(3月13日)、映画日記が溝口健二のトーキー作品26本の観直し、終わりました。今回再見できなかったパート・トーキー第1作『ふるさと』(日活・昭和5年)、戦後第1作『女性の勝利』(松竹・昭和21年)以外は溝口の現存トーキー作品はこれで全部になるはずです。感想文の方はまだ12本しか進んでおらず、1日1本観る(観直す)のも平行して続けるので当分は「本日のジャズ名曲」書く余裕はなさそうで慚愧の念に耐えません。あれもこれも欲張りすぎかな。毎日ブログ記事の更新ももう足かけ7年続けているし。
溝口健二の次に観直す予定は先18日分(3月14日~31日)立ててあるので、何が出てくるかご期待ください。
もちろん映画日記に感想文書いている映画ばかりでなく、バド・パウエルのテレビ中継映像集、届いたばかりの輸入通販DVDや、テレビ放映の実写版『ちはやふる 上の句』(来週『下の句』放映)なども観ましたが、『ちはやふる』は日本映画へのアニメ手法の逆導入の見本なんですね。フラッシュバックや止め絵(ストップモーション)、スローモーションの多用など映画で'70年代~現代アニメがリミテッド・アニメーション手法として効率化してきた映像技法を実写映画でやっている。溝口健二ならそんな事をせずとも映像の心理的誘導によって観客に与えられる表現効果です。悪くはないですが、映画観客の鑑賞力の低年齢化を考慮して作られた離乳食みたいな映画でした。
独身男の夜はヒマなので今期も深夜アニメはほとんど観ており、2018年春アニメ一番の佳作は『宇宙よりも遠い場所』になりそうで、感心したので同じいしづかあつこ監督の『ハナヤマタ』2014を安い中古DVDを買って観たりもしました。どちらもアニメ版『ちはやふる』と同じアニメーション製作プロ作品ですが('70年代のヒット作『エースをねらえ!』や2000年代は『ちょびっツ』、最近の『俺物語』等で知られる老舗マッドハウス)、手法までアニメ化してしまった現代映画よりアニメそのものの方がよっぽどスマートで、劇場用アニメよりテレビ・シリーズの方が仰々しくなくてすっきり楽しめる気がします。『ハナヤマタ』もなかなか良かったですが、『宇宙より遠い場所』はさらに腕前が上がったんだなあと思わせる出来でした。
さて、ひとまず電子レンジ調理用冷凍ピザを夜食にいただき、ささやかなお祝いにいたしました。重量級の溝口映画連続26本視聴は、観直した作品ばかりでどれも面白かったとはいえ感想文書くには手ごわい映画ばかりで、まだこれから14本も書くと思うと無謀な宿題で笑えてきてしまうくらいです。溝口映画の感想文書くよりビリー・ホリデイの名唱、チャーリー・パーカーの名演をご紹介する方がもちろん楽しく話題が尽きないですが、それはまたいずれ。