人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

クラウス・シュルツェ Klaus Schulze - アングスト Angst (Inteam, 1984)

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クラウス・シュルツェ Klaus Schulze - アングスト Angst (Inteam, 1984) Full Album + Bonus Track : http://www.youtube.com/playlist?list=PLZaPHbwTluwyRqJp3b-6WfYdk-BRHXGFE
Recorded at INTEAM-Studio, April & September, October 1983
Released by Inteam GmbH ‎ID 20.003, March 1984
All tracks composed by Klaus Schulze.
(Side 1)
A1. Freeze - 6:36
A2. Pain - 9:36
A3. Memory - 4:50
(Side 2)
B4. Surrender - 8:41
B5. Beyond - 10:16
(SPV CD Bonus Track)
6. Silent Survivor - 31:40
[ Personnel ]
Klaus Schulze - electronics and all instruments

(Original Inteam "Angst" LP Liner Cover and Side 1/2 Label)

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 ひさしぶりにシュルツェ単独録音のアルバムの快作が出ました。単独録音という点では第13作『ディグ・イット』'80以来でデジタル化第1作の同作が機材の変化と音楽性で試行錯誤を感じさせる作品であったことを思えばデジタル化初の単独録音成功作、アナログ時代の最後の完全な単独録音アルバムはシュルツェの第8作で名作『ミラージュ』'77でしたから、本作が第17作なのを思うとゲスト参加作が7作(第6作『ムーンドーン』'76以降を本格的なゲスト参加時代と考えると10作)の中で『ミラージュ』『ディグ・イット』そしてひさしぶりに本作『アングスト』で単独録音のシュルツェ作品が聴けることになります。本作はまだアナログLP時代のアルバムですが、LP時代ほぼAB面各1曲、そうでなくてもAB面いずれかが片面1曲でもう1面は2曲程度の大作構成だったシュルツェが、本作ではA面3曲・B面2曲とシュルツェとしては1曲をコンパクトにまとめています。しばしばアルバムAB面で50分~60分もの長さが特徴だったシュルツェとしてはAB面通して42分弱というのも『トランスファー』'81以来の短さで、アルバムとしては音色や曲想の統一感があるので5曲トータルですっきり聴けて「Angst」(不安)というテーマを表現主義的に描いた標題音楽として交響詩的なまとまりのある好作品になっており、代表作とか傑作というアルバムではありませんが、シュルツェの音楽の典型的な作風を示している点ではど真ん中を突いた良いアルバムです。それは本作が『絶頂人妻ボディ・ラブ~オリジナル・サウンドトラック』'76以来のサウンドトラック・アルバムであることにも由来するようです。本作は2005年にドイツのインサイドアウト・ミュージック社のリヴィジテッド・レコーズから決定版CD(SPV版CD)が発売されましたが、そのブックレット解説に2005年のシュルツェへのインタヴューを含む解説があります。本作の解説にはそれを抄訳するのが理解が早いと思われますので、以下抄訳してみることにします。
<本作は、オーストリアの映画監督ジェラルド・カールによる同名スリラー映画('83年、日本未公開)のサウンドトラックとして制作された。珍しい例だが、映画の撮影前からアルバム制作は始められていた。ジェラルド・カールは実際にシュルツェの音楽に合わせて映像を演出したいと考えた。その結果は、シュルツェの音楽とエルウィン・レダーが演じる主人公の内面の照応を完全に中心テーマとした非常に奇妙な映画になった。この映画は、刑務所から釈放されたばかりの精神病の殺人犯を主人公とし、主人公は住宅街を歩いているうちに激昂して市民たちを殺害し、「もっと殺してもかまわない……必要ならば」と言ってのける。シュルツェは「あの映画は本当に狂ったような映画でした。現実に監督か主人公を逮捕しないのが不思議に思われるほどに……」と回想している。>
(2005年11月のアルブレヒト・ピルツによるクラウス・シュルツェへのインタビューから引用)