人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ルー・ドナルドソン / クリフォード・ブラウン Lou Donaldson / Clifford Brown - ベラローザ Bellarosa (Blue Note, 1953)

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ルー・ドナルドソン / クリフォード・ブラウン Lou Donaldson / Clifford Brown - ベラローザ Bellarosa (Elmo Hope) (Blue Note, 1953) : https://youtu.be/Swy-XZ6JQhw - 4:16
Recorded at WOR Studios, New York City, June 9, 1953
Released by Blue Note Records as the 10-inch album "Lou Donaldson/Clifford Brown - New Faces-New Sounds", BLP 5030, 1953
[ Personnel ]
Clifford Brown - trumpet, Lou Donaldson - alto saxophone, Elmo Hope - piano, Percy Heath - bass, Philly Joe Jones - drums

 ピアニストのエルモ・ホープ(1923-1967)はジョー・モリスのR&Bバンドで'48年にレコード・デビューしていましたが元々バド・パウエルと同級生で先輩セロニアス・モンクに憧れ、モリス楽団でもジョニー・グリフィン(テナーサックス)、マシュー・ジー(トロンボーン)、パーシー・ヒース(ベース)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ドラムス)が同僚で、1952年までには上記メンバーが次々とジャズ界に移り実力派の新人と頭角を現す中でホープだけまだモリス楽団の残留メンバーだった、ジャズ界へのデビューが出遅れた人でした。ホープはようやくブルー・ノート・レコーズからジャズ・ピアニストとしてデビューし、4枚の10インチ・アルバム『Elmo Hope Trio - New Faces-New Sounds』'53(全8曲)、『Lou Donaldson/Clifford Brown - New Faces-New Sounds』'53(全6曲)、『Elmo Hope Quintet - New Faces-New Sounds, Volume 2』'54(全6曲)、『Lou Donaldson Sextet, Vol. 2』'54(全4曲)を残した後ブルー・ノートとの契約を失います。この4作に収録された全24曲のうち16曲がホープのオリジナル曲で、『Lou Donaldson Sextet, Vol. 2』では1曲のみの採用ですから前3作の20曲中では15曲、うち「Carvin' the Rock」のみが後輩ソニー・ロリンズ(テナーサックス)との共作曲で『Elmo Hope Trio』で初演し『Lou Donaldson/Clifford Brown』でクインテット・カヴァーしていますから実際には14曲ですが、このオリジナル曲の比率でもホープはまず作曲力が買われたピアニストだったのがわかります。当時レギュラー・メンバーだったルー・ドナルドソンクリフォード・ブラウンクインテットの唯一のアルバムでも全6曲中3曲はホープの曲で、「Carvin' the Rock」「De-Dah」、そして今回の曲「ベラローザ(Bellarosa)」が同アルバムでのホープ曲で、「Carvin' the Rock」と「De-Dah」はアルバムA面の冒頭とA面最終曲、「Bellarosa」はアルバム全体の最終曲になるB面の最後を飾っています。ブラウンの張りと艶のあるトランペットはさすがで、ヒースのベースとフィリー・ジョーのドラムスはいつものことながらすこぶる快適、ドナルドソンのアルトサックスは好くも悪くも軽いなという感じがします。
 先の2曲「Carvin' the Rock」と「De-Dah」はホープがのちに何度も取り上げる代表曲になりましたが、「Bellarosa」は比較的地味で、ホープがロサンゼルスに移っていた'58年に珍しいロサンゼルスの黒人ハード・バップ・バンド、カーティス・カウンス(ベース)・グループ(テナーサックスは元クリフォード・ブラウンマックス・ローチクインテットハロルド・ランドでした)の前任ピアニスト、カール・パーキンス(同名ロックンローラーとは無関係)との交替でアルバム半々を分け合って録音した『Curtis Counce Group / Sonority』'58(Contemporary)で再演しているのがホープ自身が参加した唯一の再演になります。そのヴァージョンの試聴リンクは引けませんが、近年ではアート・ブレイキー晩年のジャズ・メッセンジャーズのメンバーだった中堅ピアニスト、ベニー・グリーン(1963-)が愛奏曲にしており、グリーン経由でこの曲をカヴァーしているジャズマンもちらほら出てきているようです。ブルー・ノート・レコーズ'50年代~'60年代の隠れ名曲のカヴァー8曲を収めたアルバム『These Are Soulful Days』から、ブルー・ノートらしからぬドラムレスのピアノ、ギター、ベース編成で演奏されたベニー・グリーンのヴァージョンをどうぞ。

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Benny Green Trio - Bellarosa (Blue Note, 1999) : https://youtu.be/KYnAFWYKL2k - 5:41
Recorded January 16 and 17, 1999 at Avatar Studio, NYC.
Released by Blue Note Records as the album "These Are Soulful Days", Blue Note 7243 4 99527 2 0, 1999
[ Personnel ]
Benny Green - piano, Russell Malone - guitar, Christian McBride - bass