人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ジョン・コルトレーン John Coltrane - クレッセント Crescent (Impulse!, 1964)

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ジョン・コルトレーン John Coltrane - クレッセント Crescent (John Coltrane) (Impulse!, 1964) : https://youtu.be/3EWiuhpCZAE - 8:41
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey, June 1, 1964
Released by ABC/Impulse! Records as the album "Crescent", Impulse! A-66, July 1964
[ John Coltrane Quartet ]
John Coltrane - tenor saxophone, McCoy Tyner - piano, Jimmy Garrison - bass, Elvin Jones - drums

 ジョン・コルトレーン(テナーサックス&ソプラノサックス、1926-1967)のキャリアの中でポスト・バップ=モード・ジャズ期の掉尾を飾る名盤が'64年4月リリースの傑作『ライヴ・アット・バードランド』('63年10月・11月録音)に続く新作のオリジナル曲5曲を収めたアルバム『クレッセント』で、A3の軽快なブルース「ベッシーズ・ブルース」以外は瞑想的なアルバム・クロージング曲のB2「ザ・ドラム・シング」を含め、沈鬱なバラード曲が大半を占めていることでもコルトレーンの内省的な面を強調したアルバムになっています。冒頭のタイトル曲がこれほど決まったアルバムも、コルトレーンのアルバムはいつも高い完成度を誇っていましたが、ここにいたって頂点を極めた観があるもので、ドラマティックなテーマのあとでも即興とは思えないほど見事なソロが続き、ピアノが抜けたテナーとベース、ドラムスだけのパート、さらにテナーとドラムスだけのデュオになる展開はコルトレーン・カルテットだけの緊密な一体感を感じさせます。

 コルトレーンは'65年にはフリー・ジャズに傾倒し、'65年末にはカルテットにフリー・ジャズ畑のドラマーのラシッド・アリを、さらにもう一人のテナーにサン・ラ・アーケストラのメンバーだったファロア・サンダースを迎えて2テナー&2ドラムスのセクステット編成でアルバム『メディテーションズ』'66を録音しますが、ピアノのマッコイ・タイナー、ドラムスのエルヴィン・ジョーンズはこの編成を不服として脱退してしまいます。コルトレーンは'66年にバンドを再編し、ベースのジミー・ギャリソンのみ残り、ドラムスがラシッド・アリ、もう一人のテナーのファロア・サンダースも引き続き残留し、ピアノにコルトレーン夫人のアリスを迎えてクインテットになりますが、'66年7月の日本公演から帰国後コルトレーンは体調を崩し、翌'67年7月の逝去まで数えるほどしかライヴを行わなくなります。日本公演時点でコルトレーンは肝臓癌を患っていたのが判明したのが帰国後で、晩年1年のコルトレーンの活動は末期癌を抱えた体調で行われていました。コルトレーン没後にアルバム化された日本公演でも「クレッセント」のライヴ・ヴァージョンが聴くことができ、毎回3曲で2時間強に及んだという日本公演の一端がうかがえます。

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John Coltrane Quintet - Crescent (Impulse!/日本Columbia, 1977) : http://www.youtube.com/playlist?list=PLB1491AA1A8D72260 - 54:33
Recorded live at Shinjuku Kosei Nenkin Hall on July 11, 1966
Released by Impulse!/日本Columbia as the album "Second Night In Tokyo", YB-8508-10, 1977
[ John Coltrane Quintet ]
John Coltrane - soprano, alto and tenor saxophones, percussion, Alice Coltrane - piano, Pharoah Sanders - alto and tenor saxophones, bass clarinet, percussion, Jimmy Garrison - bass, Rashied Ali - drums