人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ジョン・コルトレーン John Coltrane - ベッシーズ・ブルース Bessie's Blues (Impulse!, 1964)

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ジョン・コルトレーン・カルテット The John Coltrane Quartet - ベッシーズ・ブルース Bessie's Blues (John Coltrane) (Impulse!, 1964) : https://youtu.be/o6tU-2u1eJg - 3:22
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey, June 1, 1964
Released by ABC/Impulse! Records as the album "Crescent", Impulse! A-66, July 1964
[ The John Coltrane Quartet ]
John Coltrane - tenor saxophone, McCoy Tyner - piano, Jimmy Garrison - bass, Elvin Jones - drums

 今回は2曲並べてお聴きください。どちらも1ホーン・カルテット(1ホーン+ピアノ・トリオ)による、キーも同じFのジャズのインストルタメンタル・ブルースです。コルトレーンの方は女性ブルース・シンガーの開祖の故ベッシー・スミスに捧げられた曲で、ファーマーの方はドラマーのピート・ラロカの提供曲ですがこれもおそらくイスラム名の女性(Majidは英語"Majestic"に相当)に捧げられた曲と思われ、戦後アメリカではイスラム教徒はアパルトヘイトの対象とされないため、イスラム教徒に改宗しイスラム名を持つのが黒人の人権確立まで進歩的な黒人の白人社会への対抗手段とされた時期がありました。Fのキーはブルース、循環コードとも管楽器にはもっとも運指が容易で、五線譜でもBの線に♭ひとつと非常にシンプルな調です。コルトレーンは沈鬱なバラード・アルバム『クレッセント』のLPでは全5曲中A面を締めくくるA3に配し、アルバム中唯一の軽快なブルースとして良いアクセントになっていますし、これはジャズのオリジナル・ブルースの名曲と言えるものです。アート・ファーマーも全6曲の名盤『ブルースをそっと歌って』の最終曲、B3にこの曲を配しており、ブルースというとあまり聴かない人にはアメリカ黒人演歌のような泥臭いイメージがありますが、実際には中休み、アンコール的に肩肘張らず軽く流して演奏する、粋なものがほとんどです。ファーマー・カルテットのスティーヴ・キューン、ピート・ラロカはメンバー固定以前のコルトレーンのカルテットの暫定メンバーだったミュージシャンであり、この2曲のブルースは'60年代ジャズの先鋭的な面と主流ジャズの半ばを行く好演奏として親しみのわくものです。

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アート・ファーマー・カルテット The Art Farmer Quartet - ワン・フォー・マジッド One for Majid (Pete LaRoca) (Atlantic, 1965) : https://youtu.be/u4PjUglEkEg - 5:57
Recorded at Atlantic Studios, New York City, March 12, 16 & 30, 1965
Released by Atlantic Records as the album "Sing Me Softly of the Blues", Atlantic SD 1442, 1965
[ The Art Farmer Quartet ]
Art Farmer - flugelhorn, Steve Kuhn - piano, Steve Swallow - bass, Pete LaRoca - drums