人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

京都アニメーション事件報道の二転三転

京アニ放火殺人「容疑者とNHKのディレクターが知り合い」は事実無根、公式に否定
7/30(火) 18:18配信

<京アニ放火殺人「容疑者とNHKのディレクターが知り合い」は事実無根、公式に否定> BuzzFeed

 京都アニメーションの第1スタジオが放火され、35人が死亡した事件をめぐり、NHKは7月30日、ネット上に拡散していた「NHKのディレクターが容疑者とつながっていた」などという情報を「事実無根」と公式に否定した。【BuzzFeed Japan/籏智 広太】

 一連の情報は7月18日の事件当日、NHK京都アニメーションを取材する予定だったことに端を発し、拡散していたとみられる。

 拡散しているのは、NHKのディレクターが▽青葉真司容疑者を過去に取材しており、接点があった▽スクープを撮影するため、京都アニメーションの取材日を容疑者に漏らしていた▽遺留品を回収していたーーなどという情報だ。

 なかには、「NHKの取材のために主力メンバーが集まっており被害を受けた」「事件はNHKのせいだ」という声もあがっている。

 こうした情報はTwitterや「トレンドブログ」(詳細は後述)、まとめサイトなどを経由して広がりを見せている。

 ディレクターの実名も掲載されており、顔写真や、Facebookに書かれているプロフィールを表にして掲載しているサイトもある。

 また、「ディレクターが現場付近の遺留物を軍手で回収している」などという話も、「事実」として拡散されている。

 なぜ、こうした噂が広がっているのか。

 事件は午前10時半ごろに起きたが、NHKは午前11時から同社を取材する予定だった。この現場に向かう途中のディレクターが、タクシーから容疑者確保の様子を撮影していた。

 また、事件直後には、「同社には専用のカードで出入りするセキュリティシステムがあったが、事件当日は社外の人との打ち合わせのために朝から解除していた」と、各社が報じていた。

 京都アニメーション側はその後、こうしたシステム自体がなかったと訂正している(読売新聞、7月25日付大阪本社版朝刊)。毎日新聞によると、業務時間帯は無施錠で、玄関のシャッターも昼間は常に開けていたという。

 しかし、事件直後の当初報道は一気に拡散していた。一方で、その後、施錠を巡る情報の修正が行われていたことは広まらなかった。これにNHKが取材予定だったという報道があいまって、NHKに非があるという見方が広がったのだ。

NHKは来客予定でシステムを解除していたことを伝えていない」「あからさまなフェイクニュース」などという指摘も相次ぎ、次に進んだのは、このディレクターの「特定」だった。

 顔写真を含む詳細なプロフィールに加え、「ディレクターは以前、更生施設を取材していた」という噂も重なった。

 そこから、「強盗事件後に更生施設に入っていた容疑者を取材をしていた」「ふたりは数ヶ月前に会っていた」「取材日を漏らしていた」と、もとある噂にさらなる「憶測」がもたらされたのだ。

 噂は、「トレンドブログ」を経由して拡散した。

 これは、検索エンジン対策(SEO)に長けており、ユーザーが検索しそうなキーワードを先回りして記事化し、検索からユーザーを流入させてページビューを得ることで、広告収入を稼いでいるブログ群だ。

 その内容は、ほかのサイトの記事の引き写しや、断片的な噂に憶測や過激な決めつけなどを交え、拡散に繋がる誇張表現も多い。

 社会の注目が集まる事件・事故が発生するたびに、容疑者のプロフィールや顔写真を紹介するといった触れ込みのトレンドブログの記事が、大量に作り出されている。

 今回のケースでも、「ディレクターと青葉真司の関係。消された衝撃の新事実とは?」「実行犯とNHKディレクターの接点あり」「NHKが証拠隠滅を図っている」などというタイトルのブログが、Twitter上で拡散していた情報を根拠に、記事を大量生産している。

 このほか、Twitterや一般ユーザーのブログ、5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)などを通じて噂がさらに広がった。トレンドブログを根拠した情報が、別のトレンドブログに引用されるーーという事態も発生した。

 NHKは7月30日、「明らかに事実と異なる」「事件及び容疑者とは何の関わりもなく、これらの書き込みは、いずれも事実無根です」とするプレスリリースを発表。

NHKの取材と今回の事件を関連づけるような書き込みも、明らかに事実と異なる誤った情報であり、こうした情報の発信は極めて遺憾です」としている。

 広報局の担当者はBuzzFeed Newsの取材に対し、今の段階では削除申請などはしていないと明らかにした。法的措置などについては「現時点でお答えのしようがない」と話している。

(以上全文引用)