人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

夢の夢

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ジョン・レノン John Lennon - 夢の夢 #9 Dream (Apple, 1975) : https://youtu.be/7zZsKOvXiFo

 ジョン・レノン(1940-1980)にはそのものずばりのクリスマス・ソング「ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)」もありますが、1971年の同曲はヨーコさんとの共作かつデュエット曲で、ヨーコさんとのデュエット曲ではずば抜けて良い曲ですがクリスマス・ソングのお題に答えた模範回答といった感じもします。今回採り上げた「夢の夢 (#9 Dream)」は1974年9月発表のアルバム『心の壁、愛の橋 (Walls And Bridges)』収録曲で、全米No.1ヒットとなったエルトン・ジョンとデュエットした第1弾シングル曲「真夜中を突っ走れ (Whatever Gets You Thru The Night)」に続いてシングル・カットされ、原題通り?全米第9位のヒット曲になっています。9という数字はジョン・レノン自身が自分のラッキー・ナンバーと考えていたものでした。ビートルズ最後期の「アクロス・ザ・ユニヴァース (Across The Universe)」と似通った雰囲気のこの曲は歌詞には冬も雪も歌われているわけではないのですが、鼻歌のような浮遊感に富んだメロディーにふわっとした歌語、アコースティックなアレンジに包みこむようなストリングス、効果音的に挿入される女性のヴォイス(当時ジョンとヨーコは別々の愛人と別居しており、この声はジョンの愛人だった中国系秘書のメイ・パンの声です)、サビに歌われる造語「ア・バワカワ・ポセ・ポセ」がかもしだす雰囲気は粉雪の中を歩んできて家にたどり着き、暖炉に当たっているようなムードがあります。シングル・カットは1974年12月(アメリカ)、1975年1月(イギリス)で、やはり冬のムードにふさわしい楽曲と判断されたのでしょう。オリジナル曲としては特に名曲でもなくジョンの歌声と冴えたアレンジで忘れられない佳曲になったようなヴァージョンですが、こういう曲がさらりと出来るのが当時のジョンの才能であり、ソロ・アーティストになってからのベスト・アルバムでも本作が必ず収録されているのはこの天才の多彩な作風を示してあまりあります。堂々とした「ハッピー・クリスマス」のように聴き飽きもしません。歌手としてのジョンはもちろんロックンローラーが本領ですが、こういう可愛い曲を残してくれていていたのは心が安らぐ気がします。