人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

追悼、エド・アスキュー(米シンガーソングライター)さん

1993 ZYX “Ed Askew (Ask The Unicorn)”CD Font Cover
f:id:hawkrose:20250112101849j:imageEd Askew (1940~2025), 2011f:id:hawkrose:20250112101904j:image

 1965年から1969年までの間に約100枚のフリージャズとニューヨークのアンダーグラウンド・シーンのフォーク/ロックのアルバムをリリースしたインディー・レーベル、ESPレコーズから、コネチカット州ニューヘイヴン生まれで1966年からニューヨークのアンダーグラウンド・シーンで活動し、「ESP 1092」の品番のアルバム『Ed Askew (Ask The Unicorn)』(ESP 1092, 1968)でデビューしたシンガーソングライター、エド・アスキューさん(Ed Askew、1940.11.1~2025.1.5, age 84)と言っても、ほとんどのリスナーには知られていないのではないかと思います。その訃報も日本に限らず、1月8日に86歳で逝去した元ピーター、ポール&マリーのリーダー、ピーター・ヤーロウ(1938~2025)とは対照的に、欧米ですらメディアでは一切取り上げられなかったのではないでしょうか。筆者は同作を1980年代末にイタリアのインディー・レーベルBASF社からの復刻LPで購入し、以来ドイツのインディー・レーベルZYX社からの1993年の初CD化も買い換えて長らく愛聴してきました。ジョン・レノンと同年生まれ(それすら今回調べて初めて知りました)のアスキューさんのインフォメーションはまるでなく、筆者にとっては謎めいた幻のアーティストでしたが、やはりESP社からニューヨーク・アンダーグラウンド・シーンのフォーク/ロック・アルバムとして出たファッグス、ゴッズ、パールズ・ビフォア・スワイン、ホリー・モーダル・ラウンダース、MIJことジム・ホルムバークらのESPからのアルバムとともに大切に聴いてきたのが、1968年(日付不詳)にたった3時間で録音され、同年すぐにリリースされたドリーミーな名盤『Ed Askew (Ask The Unicorn)』です。

 冬の夜長となるとそうした長年の愛聴盤を聴き返したくなるもので、ファッグスやゴッズ、パールズ、ラウンダースの創設メンバーはいずれも故人ですが、CD棚にひとまとめにしてあるESPのアンダーグラウンド・フォーク/ロックのアルバムでも『Ask The Unicorn』は、デイヴィッド・ボウイがフェヴァリット・アルバム20選に上げるファッグスの『The Fugs (Second Album)』(ESP 1028, 1966)を始め、ゴッズの『Contact High with the Godz』(ESP 1037, 1966)、パールズの『One Nation Underground』(ESP 1054, 1967)と並んでESPレコーズのアシッド・ロックを代表し、ギターの弾き語りアルバムとしても、初期ドノヴァン風のMIJの佳作『Yodeling Astrologer (ヨーデル占星術師)』(ESP 1098, 1969)をしのぐ、ひときわ感動的なアルバムとして忘れられない作品です。そういえばエド・アスキューというアーティストについてはCDブックレットの原盤ライナーノーツ転載以外に何も知らなかったな、と英語版ウィキペディアを覗いてみたら、つい先日、今年2025年1月5日に84歳で亡くなったことを知りました。さらにアスキューさんは27歳・1968年のデビュー作『Ed Askew (Ask The Unicorn)』のあと、60歳を目前とした1999年に復帰し、同年の自主制作盤以降さらに2020年まで9作のアルバムを残し、84歳の逝去直前まで現役を貫いたことも知りました。

[ Ed Askew Discography ] ※Reissue
1. Ed Askew (Ask The Unicorn) (1968) (LP on ESP Disk)
※. Ed Askew (Ask The Unicorn) (Reissue CD on ESP/ZYX Records, Germany)
2. These Nights and Days (1999) (LP self-released)
3. Little Eyes (2005) (LP on De Stijl Records)
4. Rainy Day Song (2008) (LP on Spinning Gold Records)
5. Imperfiction (2011) (LP on Drag City)
6. For the World (2013) (LP on Tin 7. Angel Records, TAR037)
7. Rose (2014) (double 10" with Joshua Burkett and Steve Gunn (musician) on Okraïna Records)
8. Rainbow Bridge (2014) (cassette on OSR Tapes)
※. Ask the Unicorn (2015) (Reissue LP on Tin Angel Records)
9. Art and Life (2017) (LP/CD on Tin Angel Records)
10. London (2020) (LP on Tin Angel Records)

 小プレスと通販・流通の少ない自主制作盤、カセットテープ・アルバム、スプリット・アルバム、アナログLPのみのリリースなどおよそ商業的成功など度外視したローカル・インディー盤ばかりのため、アスキューさん復帰後のアルバムはいずれも入手困難盤になっているようですが、アスキューさんは晩熟のデビュー作にして名盤『Ed Askew (Ask The Unicorn)』一作で今後も聴かれ続けていく人でしょう。試聴リンクを引いておきます。ヴァン・モリソンに迫る真っ黒けなホワイト・ソウル・ヴォーカル、アスキューさんならではの幻想的なソングライティング(全曲自作、弾き語り、プロデュースです)は唯一無二のものです。このアルバムはA面1曲目とB面ラスト曲が円環をなしており、A1の「Fancy That」から始まった魂の追及が最終曲にしてアルバム(副)表題曲「Ask The Unicorn」(本名非公開ながら、アーティスト名「Askew」は「Ask You」、そしてこの曲に掛けたものと思われます)までが魂の遍歴になっており、最終曲「Ask The Unicorn」はアスキューさん一世一代の名曲・名演・名唱でしょう。デビューから復帰まで30年ものブランクを置きながら「Ask You」とリスナーへの問いかけを貫いた人、富や名利とも無縁に84歳の生涯をかけて真実を追い求めた人だったと思うと、万感胸に迫ります。こういう人こそ真のアーティストと言うのだろうと、『Ed Askew (Ask The Unicorn)』を聴き返すばかりです。
f:id:hawkrose:20250112102134j:image・Original ESP records “Ed Askew (Ask The Unicorn)” Front & Liner Cover, LP Labelf:id:hawkrose:20250112102157j:imagef:id:hawkrose:20250112102220j:imagef:id:hawkrose:20250112102236j:image◎Ed Askew - Ed Askew (Ask The Unicorn) (ESP 1092, 1968) Full Album : https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nyGVwzSKMyAHww8V6hzIewN8DN0sGaZeE&si=RCJcISXNpDyokQXE
・1993 ZYX CD Font Cover
○Ed Askew - Ask The Unicorn (Original version, the album “Ask The Unicorn“, ESP 1092, 1968) - 2:52 : https://youtu.be/_goVThj86ig?si=t8du7HEp1zux7nWE
○Ed Askew - Ask The Unicorn
(Re-recorded version, from the album “London“, Tin Angel Records, 2020) - 3:04 : https://youtu.be/NWoMNf9RysM?si=XdYSzmlnUs3eN2SF