人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

日曜日

(佐伯です。ぼくが愛読した詩人は萩原朔太郎西脇順三郎ボードレールジュール・ラフォルグだった。きみにプレゼントした本はみんなきみの夫に捨てられてしまった。
ぼくは元々詩を書いていた。きみのために25年ぶりに書いてみたくなった。作風はジュール・ラフォルグそのまま)
題して「日曜日」
副題「女から身を引いた記念のために」

日曜は快適だ。どの家庭も朝寝して、夫と妻、子供たちが遅い朝食の
テーブルを囲む。子供たちが遊びに出ていけば、夫婦は倦怠の時間を
単独に、または共同で過ごすだろう。
彼らの幸福は正当だ。

だからぼくはどこにも出ない。
アエリエルに日曜日はないから。

アエリエル、すなわちぼくは教会の礼拝にすら
顔見せできない。誰もが優しく歓迎してくれるから
そんな屈辱にはぼくは耐えられない

アエリエル、空気の精、現実感も生活感もなく
掴まえたと思うと逃げて
諦めると寄ってくる
魂は一日中健康センターの送迎バスの屋根の上にいる

透き通った花びらのようなきみ、と思ったのは
ぼくの間違いで、
きみを信じて愛している、と自分から思い込んで
きみに信じさせようとしたのも
ぼくの愚かさだった。

ぼくは誰も目をくれない花びら、空気の精。
ぼくのナルシズム。抱いた女たちの誰にも愛情を残さなかった
感情の枯渇。

じゃ、結局ぼくは自業自得で話は済むわけだ。愚かさも当然として。
そしてぼくはすべての女性を讃えるだろう、最後までぼくは偽善者で
女嫌いだった自分を隠しとおしたいからさ。