人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ドン・ファン対カサノヴァ

国語や英語の授業で女性教師は必ずぼくを指命してきた。ぼくは穏やかで感情のこもった声で朗読した。クラス中の女の子がため息をついた。はっきりと「すてき…」と言う子もいた。
ぼくが黒板に書くと、同じような反響にあった。「きれいな字!優しい…」
制服のボタンが取れるとボタンつけの争奪戦になった。「私が」「ジャンケンで決めましょう」

高校時代に1つ下の女の子と恋人になり、6年続いた。次の恋人は6歳下で、8年。それから別れた妻、10年。離婚後に不倫関係になった人妻とは1年。46歳のぼくが愛した女性は結局だれもいなかった。
妻が生んでくれた娘二人だけは宝物。でもこれは親としての愛情だから。

恋人がいる時には惑わされなかったが、間には誘われたら断れなかった。ライターとかジャズサックス奏者だったりすると1度限りの関係が多くなる。さすがに3桁には届かないけれど。
愛する女性以外にはまったく感じなかった。相手はきっちり満足させたけど。

カサノヴァは数を、ドン・ファンは理想を求める。ぼくはどちらでもない。ウンコにハエがたかるように、ただの自然現象だった。女性蔑視ではなく、そういうこともあるというだけ。

ぼくは女嫌いなんだ。男はもっと嫌いだけど。ミザントロープ、人間が嫌い…でもこれって矛盾してるかい?愛する人しか愛せないことが。