人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ジャムセッション

ジャズのジャムセッションといっても実際の現場を経験した人はあまり多くはないでしょう。友人知人の楽器演奏家に訊いても「ジャズはちょっと…ジャムセッション?」そんなものです。でも実際体験してみるとこれほど面白いことはありません(店によるけど)。
ぼくは自分のカルテットで活動して、主にモード時代のマイルスやコルトレーンのレパートリーを演奏していました。ぼくの演奏はエリック・ドルフィーに近いものでした。「これってジャズ?」「はい」。
自分のバンドにはまだ何かたりない、それを学びたくてあちこちジャムセッションに足を運びました。

「佐伯和人、アルトサックスです」当時料金は1000円。

名前を呼ばれて初対面のメンバーが組み、ステージに上がります。ぼくはアルトサックスだからいわば歌手、選曲権は優先です。ためらっていると、
「じゃ枯葉にしようか」
とピアニストの田山さん。「おれから入るからね」
田山さんのイントロは嵐のようでした。第一まるで枯葉に聞こえない。ベースとドラムが安定してからテーマを吹き、これなら大丈夫だと転調もリズム・チェンジも勝手にアドリブ。田山さんのソロからエンド・テーマに入り、ようやく枯葉のテーマがしっとりとでて、吹き終えて客席に挨拶するとスタンディングの拍手。新宿ピットイン、もう15年以上前の話です。
その時の演奏は「カフェ・モンマルトルのセシル・テイラー」に近いものでした。ジャムセッションでフリージャズ(笑)!田山さんは準セッションマスターで、ぼくの出演回数を優遇してくれるようになりました。
高田馬場イントロもよく行きました。早稲田大学のジャズ研の巣窟「演歌かよ」「腕前もないのに変な演奏すんな」と散々罵倒されました

ジャズサックス奏者のいいところは8分の演奏でも実質その半分しか出番がない、メンバーにアイコンタクトして暇をつぶし、それでもバンドの主役。でもそれだけのことはしているんです。
…でもやっぱりテナーがかっこいいな。ぼくはアルト、虎と猫ほど違う。