人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

精神医学への認識について

今回はうまく書けるか自信ないが、精神医学への認識の問題について。というのは、これだけメンタルクリニックが市民権を得ても精神医学への認識は曖昧なままに見えるからだ。

「どうしましたか?」
「不眠と食欲不振が」
「ではお薬を」
これではまるで近代以前の本草学と変わりない。薬を処方されて、それだけ。

ぼく自身が本気で自分の疾患を学び始めたのが双曲性障害+シゾイド人格障害アスペルガー症候群の三点セットで障害者手帳を取得してからだった。

それまで2回の入院経験はあっても、ぼくは、
統合失調症候群
・双曲性障害(躁鬱病)
それに人格障害気分障害(躁・鬱)、発達障害(自閉、退行)、老矇性妄想
などのさまざまな症状を見分けられなかった。入院4回目でようやく見当がついた。

ぼくは当初「急性ストレス障害=鬱」の診断名だった。ぼくの散々な履歴から診断されたのだ。それが人間関係のトラブルから鬱転じて躁になり、リバウンドの瀕死の鬱が来てようやくぼくの躁鬱病は確定した。

それからぼくは手に入る限りの文献を調べ、わからないところは診察のついでに主治医に訊いた。

70年代には全入院患者の70%が統合失調症候群だった。現在では90%以上。確かに精神疾患で統計上、統合失調症が占める割合は多い。だが躁鬱病は診断を受ける機会がなく埋もれている例が多いのではないかと思う。統計ほど危険な例証はない。

だからこれは精神疾患の比率とは違う。ぼくの観察では、躁鬱の長期入院患者はいない。慢性化状態の統合失調症では社会生活の復帰が非常に困難になり、退院の見込みが立たず長期入院が続く。家族の手に負えない、引き取り手がいない、家がない…いわゆる「社会的入院」に陥ってしまう。入院比率の高さはそのせいだと思う。

クレペリン統合失調症候群を「早発性痴呆」と定義したが、現代の精神医学ではブロイラーの、
・同調性性格者
・分裂性性格者
という大別を受け継いでいる。前者は同調性ゆえに躁鬱となり、後者は現実への違和から統合失調となる。基礎疾患の分類はクレッチマー社会学的拡張はフロイトユングだが、おそらくブロイラーは現代の薬物療法と一番相性がいい。だが精神医学は現在に至っても治療の面では常に暫定的なのではないか、と思わずにはいられない。(未完)