人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

「罪と罰」について

個人的な印象では、離婚時のトラブルで拘置所生活を経験する前と後ではまるで作品の迫真性が違って見えました。作品のテーマ自体は「人は他人の運命を左右できるか(主人の強盗殺人、後半の受刑生活)」でいいと思いますが、主人公にも読者にも最後まで結論は訪れないんですね。
ドストエフスキーも入獄経験者ですが、19世紀のロシアと21世紀の日本では未決囚の扱いは大差ないんだな、という皮肉な発見もありました。
昔ライターの集まりで女性ライターがヒロインの設定(無垢な少女娼婦)を思いきり馬鹿にしていて、お前こそ馬鹿じゃないかと思ったけど反論しなかったことを思い出しました。1、フィクションを現実と混同している。2、「無垢な少女娼婦」という存在への想像力がない、3、過去のフィクションへの歴史的感覚を欠いている、等々。
主人公が強制労働中にふと、70×40×180センチメートルの空間でいいから生きていたい、と祈念するところが「罪と罰」の核心だと思います。生きていたい。ドストエフスキーは「人を愛せない人生は地獄だ」と言った人でした。主人公がそこへ踏み出していくことを暗示しているから、とりあえずこの小説はハッピー・エンドです。
(同じ作者でも、「未成年」「白痴」「悪霊」となるとテーマや構成を説明するのすら困難になります)
粗略ですが、大体外れていないと思います。もし疑問がありましたら気軽にどうぞ。突っ込まれるとしどろもどろになるかもしれませんが(笑)