今日は土用の二の丑の日だった。こないだの丑の日といい妙に気にかけているようだが、買い物はもちろん散歩コースにもスーパーがあるんだからついつい立ち寄ってみようというもの。だいたい自動ドアの脇にのぼりがたててある。
国民はさすがについ10日ほど前に一の丑の日があると、二の丑の日はさほど重視しないらしい。鮮魚売り場の蒲焼も、惣菜売り場の鰻重も、一の丑の日に較べればかたちだけコーナー出してます、という程度だった。
店内で写真を撮るわけにはいかないが、屋外ならいいだろう。そこでなんとも気勢があがらないのぼりの写真を撮る。尾辻克彦(赤瀬川原平)の「国旗が垂れる」という小説を思い出した。
赤瀬川原平はもともとポップ・アート(コンセプチュアル・アート)から出発した人で、代表作は複製1000円札(刑事事件になった)、「父が消えた」(芥川賞受賞の小説デビュー作)、「超芸術トマソン」(街中に存在する無用な物体を芸術として観賞する、というコンセプト)、「老人力」などがある。
このなんとも情けない無力なのぼりも、生活保護と水商売と外国人が三分の一ずつを占める貧乏マンションに響く風鈴の音のような夏の風物詩にはちがいない。1年間に実働2日。無理矢理言えばこれだって立派な芸術的存在ではないか。