安東次男「CARANDRIER 」より

紹介する詩は60年の詩集「CARANDRIER」より、12月に分かれた詩集の8月篇を担う。詩のテーマは被災者慰霊詩を書くことの欺瞞性、それをあえて不自然な改行とグロテスクな文体で描いている。それが現代詩というものだ。全編を引用する。
建てられたこんな塔ほど
死者たちは偉大ではない
ぼくは死にたくなんぞないから
ぼくにはそれがわかる
ところでなぜぼくは
こんなところに汗を垂らしてうつむいて
いるのだ一篇の詩がのこしたいためか
似たりよったりの連中のなかで
生まれもつかぬ片輪の子を生んで俺の
子ではないとなすりつけ
あいたいためかぼくにはそれがわかる
建てられたこんな塔ほど
死者たちは偉大ではない
(「碑銘」Aou't)