先に掲載した記事「イタリアン・ロックの甘美な世界」はなぜか反響があり、やはり素敵な女性はパスタが好きなのだと(ぼくは自分のブログの訪問者は美男美女・才子佳人と決めている)再認識した。アルバム・ジャケットが素晴らしいといいところに気づいてくれたかたもいた。そうなんです、ユーロ・ロックはアルバム・ジャケットがいいんです。そこで今回はジャーマン・ロック、ジャケットで選んだが中身も極上で、美しい音楽が好きな人なら一発で気に入る。
まずはアルバム紹介をすると、上からポポル・ヴー「ホシアナ・マントラ」、青いのはエムティディ「芽生えの時」、ちょっと妖しいのがヘルダーリン「詩人ヘルダーリンの夢」、すべてドイツのインディペンデント・レーベル'Pilz'から1972年に発売された。
出向先で徹夜明けの仕事を終え、もう昼過ぎになってしまった帰りに西新宿に寄り道して輸入盤・中古盤・廃盤専門店をハシゴする。この3枚なんかもそうして手に入れたアルバムだ。くたばりそうになりながら家路につき、ジャケットを眺めながらレコードを聴いてあまりの美しさに本当にくたばりそうになった。もうCDの普及がLPの息の根をとめる寸前だったが、ぼくは90年代までLPしか買わなかったのだ。
ジャーマン・ロックは大きく分けるとみっつの流れがあり、ハード・ロック、アヴァンギャルド・ロック、クラシカル/フォーク・ロックといったところになる。ここに挙げた3枚は最後の分類の最高峰だが、フォークといっても英米のそれとは違う、クラシックに見られるようなドイツ特有のものだ(ブルックナーやマーラーを連想してもらっても良い)。ピアノとアコースティック・ギターにフルートやオーボエ、ヴィオラのアンサンブル、3枚とも外国人女性ヴォーカリスト(韓国人、アメリカ人、スウェーデン人)を起用しているところも共通している。
エムティディは2枚のアルバムを残して消滅したがポポル・ヴーは2001年のリーダーの逝去までに20枚のアルバムを発表、ヘルダーリンに至っては結成40年でアルバム8枚、今も現役で活動している。そんなのがざらにいる。本職を持ちながらバンド活動なんて当り前、という土性骨が据った人たちなのだ。
まあジャーマン・ロックで最大の世界的成功をおさめたのはクラフトワークとスコーピオンズだが、それはこの際おいといて(笑)。