人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

フレンチ・ロックの夢幻な世界

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まず掲載のアルバムを。上からパルサー「ハロウィーン」1977、ワパスー「ミサ・ニ短調」1976、アトール夢魔」1975、どれも70年代フレンチ・ロックの名作という定評がある。名作は他にもあるが今回もジャケットで選びました(笑)。3バンドとも個性が強いのでこれ1枚でフレンチ・ロックというわけにはいかない。
フレンチ・ロックの3大バンドといえばゴング、マグマ、アンジュで異論はないだろう。どれもデヴュー40年を越えて健在。ゴングとマグマはちょっとヤバいかもしれない。「自分達は宇宙人である」と公言している。ゴングの方はラジオ・ノーム・インヴィジブルで、マグマはコバイア星人だ(歌詞もコバイア語!)。メンバーチェンジも頻繁なのでゴングやマグマの舎弟バンドもごっそりいる。忘年会など開いたらたいへんなことになるのではないか。というか、ゴングのライヴはパーティ、マグマのライヴはセレモニーみたいなものだ。どちらも大世帯バンドである。

結局フレンチ・ロックの粋はアンジュというところで穏当なようだ。いろんな影響が入っているだろうが、歌を大事にする姿勢が広い層にアピールした。ポップスのバンドではなくあくまでもロックだが、息の長い活動もアンジュなら納得できる。音はジェスロ・タルジェネシスを渋くしたような感じだ。ちなみにゴングはつかみどころのないサイケデリックサウンド、マグマはカール・オルフカルミナ・ブラーナ」のジャズ&ロック版のようである。想像できます?
アンジュに並ぶ強力な存在にカトリーヌ・リベロ&アルプスというバンドもあった。女優出身のヴォーカリストの力量、メンバー発明の楽器を使った異様な楽曲とアンサンブル。だがどこまで行ってもメロディアスなのがアンジュやリベロのいいところだ。
掲載したアルバムもそれぞれ傾向は異なるが、メロディアスという点では共通しているかもしれない(上の2枚はアルバム1枚で1曲、下の1枚もほとんどメドレーでつないでいくから覚悟はいるが、ユーロ・ロックでは珍しくないとイタリア編、ドイツ編を読んでいただいたかたならおわかりだと思う)。
たが日本でのユーロ・ロックの人気はイタリア、ドイツ、フランスの順になる。イタリアン・ロックとフレンチ・ロックではメロディの質が違うのだ。フレンチ・ロックのメロディは親しみづらいのだと思う。