人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

谷岡ヤスジ「ある漫画家の苦悩」

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今回ご紹介する「ある漫画家の苦悩」(仮題)は、作品制作をそのまま作品にするメタフィクションの好見本ともいえる一篇。

「ベロベーマン」《連載100回忌×記念》
・ペン先「まずだいたいの線を描いて」
・同「で、こんな線も引いて」
・同「この辺を畑にして」
・同「家を描いて」
・同「人も描いて」
・ペンを握る手「で、こっちにゃ土手や小川を描いて」
・同「土手にゃ木も生やして」
・同「そばで小鳥かなんか飛ばしたりして」
・同「で」「チッチッ」「なんて鳴かしたりして」
・同「小川にはハヤかなんかハネさしてみたりして」・風景。小鳥「チッチッ」
・伸びをする漫画家「やれうれしや/これでだいたい田舎のフーケイが出けたぞと思って」
・インク瓶にペン先
・指先とペン先「最後におひさまを描こうとしたとき」
・ペン先にインク「ツツツツ」「ああ!」
・絶叫する漫画家「あ~~」
・原稿にインク「ボタッ」
・硬直する漫画家。背後に編集者。
七転八倒する漫画家「あー~~~」「~~~~」
・嗚咽「アッ」「アッ」
・デスクを叩いて怒号「バンバン」「あー~~」
・倒れるインク瓶「ゴロン」
・原稿にインクが「ドコドコドコ」
・(見開き)「うわ~~」
・パニック状態の漫画家「~~~~」編集者「あんなぁ」
・漫画家「うわ~~」
・漫画家、編集者に「ごらんの通りで心身共に疲れはてました/〆切りあしたに延ばしていただきたいのです」
・編集者「編集長と相談してみましょう」漫画家「墨のせいだからね墨の」
・編集長「ちょーどよかった/君の名前んとこ墨こぼしちゃったんで終りにしよーね/連載」漫画家「うわー~~~」