しばらく前にヨーロッパのロック三大国(イタリア、ドイツ、フランス)の名作案内というのをやった。日本に紹介され、なおかつロングセラーというと必然的に70年代のバンドになる。80年代以降デビューのバンドは評価が定まらないのと、グローバル化の進行でユーロ・ロック自体がアイディンテティを失い、CDの入手も容易ではない泡沫的バンドが主流になったからだ。これはヨーロッパ諸国に限らない。本場アメリカ、イギリス、ついでに日本も事態は変わらない。
それで前回のユーロ・ロック案内だが、プログレッシヴ・ロック(略称プログレ)案内ではないか、というご指摘を受けた。実にその通りなので反論できないのだが、正確には順序が逆で、プログレというジャンルがあってこれらのバンドが出てきたのではなく、これらのバンドの音楽性に時代的な共通点があって、プログレというジャンルで呼ばれることになった、というのがより実態に即しているだろう。
ただしそれもシーンを牽引した強力なバンドがあったからで、いずれもイギリス出身のこの五バンドの影響力は絶大なものがあり、いつの間にか彼らは「プログレ五大バンド」と呼ばれるようになった。ディスク・ユニオン新宿プログレ館に行けばわかる。
●ピンク・フロイド
●キング・クリムゾン
●イエス
●ジェネシス
●エマーソン・レイク&パーマー
さらに五大バンドに劣らない個性派「三大プログレ裏番長」として、
●ジェスロ・タル
●ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーター
●ジェントル・ジャイアント
がおり、以上に挙げたどのバンドにも目の上のたんこぶ的な大物と、喧嘩上等の無頼派に、
●ソフト・マシーン
●ホークウィンド
がいる。裏番長の裏にさらに裏番長がいるのだから本当のボスキャラはいったいどこだ、という気がしてくる。こうしてCDばかりがやたらに増えていくのだ。
掲載図版は上よりキング・クリムゾン「クリムゾン・キングの宮殿」1969、ピンク・フロイド「原子心母」1970、同「狂気」1972、いずれも大ヒット作で、ロックの名作案内には必ず出てくる。
ぼくがこの3枚を購入して、ジャケットや歌詞カードを眺めながら飽きずに聴いていたのは高校1年、もう30年前になる。この顏!この牛!このプリズム!21世紀になってもやっぱりすごいものはすごいのだ。