人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

殺人現場と私

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実はドヤ街の記事で使った写真はドヤのビルではなかった。ではなぜあんな写真なんかというと、このビルでタイ式マッサージ店を経営する韓国籍の女性が他殺体で発見されたのだ。昨年11月のこと。そこで12月に総合病院に通院した時にネタ切れ用の素材と思って写真を撮っておいた。
でも年末年始に殺人はないよな、と正月気分が霧消するまで待ったので、やる気をなくした頃に巡ってきた感じだ。このビルは1階以外ぜんぶタイ式マッサージ店で、そのうち1軒にはついうっかり入ってしまったことがある。
うっかり、というのはその前にヘルスで抜いてきた(女性のみなさん、関東ではそう言います)ばかりで、ぼくの顔は脂粉が移ってムンムンしていた。しかもタイ式マッサージにはフィニッシュがなかったからムラムラしてもう1軒ヘルスにまわってしまった。躁鬱病の躁では性欲が著しく高まる。この時ぼくは躁だったのだ。発情期。反動で鬱。絶食不眠。危篤。入院。

「あ、ドヤの写真じゃないんだ」
訪問看護のアベさんは言った。「ぼくも精神保健福祉士の資格とるのに通っていた学校で、コトブキで何泊か生活してくる、っていうのがありましたよ」
アベさんは「ドヤ顔」の「ドヤ」は「どうやっ!」だと思っていたという。「得意顔、してやったりという感じですか?」「ええ、違うんですか?」
「明らかにドヤ街の、路上で朝から酒くらっているイメージのほうのドヤですね」-だがダブルミーニングなのかもしれない。弱者差別から発想した術語を、無害とも主張できるようにしている。年末年始には「ドヤ顔スペシャル!」なんていう2時間バラエティがあって、内容はただのダイエット番組だった。

殺人現場の話だった。そうは言っても、新聞のニュースでは実によくある話の扱いだった。マッサージ店経営の女性(在日韓国人・52歳)が夜中の店舗で絞殺され、そこそこ金品が強奪されていた。警察は怨恨と強盗の両面から捜査を進めている。ぼくは三好達治の『湖水』を思い出した。「あの湖水で人が死んだのだ/だからあんなに舟が出ているのだ(…)」
解決してもしなくても同じの、ありふれた殺人。

ついでにビルの連想から、ぼくの部屋の写真を載せる。西側と東側は本棚とCD棚で埋っている。ぼくの主治医に言わせると「典型的な強迫性障害の部屋」だそうだが、どうか?殺人現場よりはマシか?