人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

『~ローリング・ストーン』前篇

イメージ 1

イメージ 2

ボブ・ディラン屈指の代表曲といえば『風に吹かれて』1963、『時代は変る』1964、そしてアルバム「追憶のハイウェイ61」'Highway 61 Revisited'(写真上)のオープナーでシングル・カットされ1965年9月、ビルボード2位(1位はビートルズ『ヘルプ!』)、キャッシュボックス1位を記録したディラン最大ヒット'Like A Rolling Stone'で決りだろう。この曲の後セッションマンが続けてサイモン&ガーファンクルの『サウンド・オブ・サイレンス』弾き語り版に追加録音しエレキ・ヴァージョンが作られ、No.1になったという挿話もある。どちらもハーバード法科卒の異色のインテリ黒人プロデューサー、トム・ウィルソン(後にアニマルズ、フランク・ザッパ&マザース、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドも)が決行した。この曲は6分08秒もあり、ラジオの主流が2~3分の時代には過激な挑戦だった。歌詞の長さも過激だが全訳した。この曲までのディランの足どりは記録映画「ノー・ディレクション・ホーム」2005に詳しい(写真下はそのサントラ)。

『ライク・ア・ローリング・ストーン』前篇(散文訳)

昔きみはいい服を着て若かったとき乞食に銭をくれてやったね、そうだろ?誰もが言った「お嬢さん気をつけないと、落ちぶれたら大変だぞ」でもきみはからかってるだけだと思ってた、そうだろ?きみはよく何もない人たちを笑ってた。でも今きみは大きな声で話さない。今きみは自信すらない。次の食事をどうするか途方にくれて-

どんな気分だい?どんな気分だい?住む家もなくして、決めた宿もなくて、誰にも完全に知られない、まるで転がる石みたいでいることは。

一流学校へ行ってたんだよね、ミス・ロンリー?でもわかってたろ、ただ搾られるだけで、誰も路上生活なんか教えてくれなかった。だけどやっと今きみは前からこうだった気がしてきた。きみはいつも妥協は嫌だと言ってた、素性のわからない放浪者なんかとは。でも今きみはわかった、彼だってアリバイを売ってはくれないことを。彼の虚ろな目を覗きこみ、取り引きを打診してみても-

どんな気分だい?どんな気分だい?住む家もなくして、決めた宿もなくて、誰にも完全に知られない、まるで転がる石みたいでいることは。
(前記アルバムより・後篇に続く)