人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

イタリアのアナーキスト・バンド

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題名が的確にこのバンドを伝えるかは疑問ですが、アレア(Area)といえば泣く子も黙る70年代イタリアの最重要バンド、一聴してぶっ飛ぶヘヴィー級のインパクトでは比類がありません。また日本の感覚では理解し難いことですが、彼らはイタリア共産党の政治集会御用達バンドでした。しかも前衛的なサウンド、歌詞は辛辣な反権力と解放、自由のアジテーション。本来なら共産主義の見地からも危険視されてしかるべき凶暴なインテリ集団です。
メンバーはあらゆるジャンルに通じ、なろうと思えばレッド・ツェッペリンにもなれたでしょう。ヴォーカリスト、デメトリオ・ストラトス(79年没・享年34歳)の力量は超人的でした。
ここでアルバムのリストを。

1.「自由への叫び」'Arbeit Macht Frei'1973(図1)
2.「汚染地帯」'Caution Radiation Area'1974
3.「クラック!」'Crac!'1975
4.「アレアツィオーネ」'Are(A)zione'1975(ライヴ)
5.「呪われた人々」'Maledetii'1976(図2)
6.「1978」'1978 Gri Dei Se Ne Vanno,Gli Arrabbiati Restano!'1978(図3)
7.「イヴェント'76」'Event'76'1979(ライヴ)
8.「チック・タック」'Tic Tac'1980
その他90年代に一時的再結成アルバム、76年録音の発掘ライヴ「パリ-リスボン」(図4)他1作が発表されています。

処女作がすべてとの言葉通り「自由への叫び」冒頭の『7月、8月、9月(黒)』は14/8拍子と15/8拍子が繰り返される激烈な一曲。

「世界を玩具にし/ずたずたに引き裂く/子どもたちよ、太陽はもう/老いてしまった//お前の現実がおれに/町の沈黙と戦わせても/おれのせいじゃない//おれたちは言いたい/世界中が血に溺れていると/知っていることを//歴史の中に読み取れ/おれの苦しみのすべてを/死を望まないおれの家族に/目を向けろ//お前の現実が/おれに人類と戦わせても/おれのせいじゃない」
(大意)

アルバム原題'Albeit Macht Frei'はナチの標語「自由への労働」。痛烈な皮肉です。労働の向うは強制収容所でした。