人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

土田よしこ「つる姫じゃーっ!」

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今回はマンガの話でも書こうと思いますが、だれも知らない作品の話をしても仕方がない。だからと言って語り尽くされたマンガを取り上げるのも芸がない。すると意外に「だれもが知っているけれどだれも語らない」作品というのがあるわけです。

ギャグ漫画などジャンルそのものがそうでしょう。80年代になって4コマ漫画専門誌の創刊が相次ぎ活況を呈しましたが、これはコンビニ需要というべき現象で、4コマ漫画=「スキマ商売」という位置付けに変りはありません。ストーリー漫画が1回16、24、32ページを基本とするに対しギャグ漫画は4、6、8ページと、いわばストーリー漫画とのページ調整に使われます。4コマ専門誌でも作品間の力関係はあります。

今日はテレビ放映で「プリキュア・オールスターズDX3・未来へとどけ!世界をつなぐ虹色の花」を見ることができて、3日続けてプリキュア映画とは実にありがたかった。気持が明るくなりました。
で、スーパー戦隊でもプリキュアでも、または少年マンガ・少女マンガ全般に言えるのは「理想主義」と「ハッピーエンド」なんですね。いつから?昔から。

理想主義とハッピーエンドの世界ならやはり少女マンガ以上に徹底したものは見当たりません。これはある意味小児的と言ってもいい。つい最近の記事に「少女マンガの旬は短い」と書きました。理想主義との関係では、ふた通りの場合が考えられます。
(1)少女が理想主義に惹かれる期間は短い。
(2)理想主義は時代の価値観に左右されやすく、流行が移ると急速に価値を失ってしまう。
ふた通りではなくこれはひとつながりですね。

「つる姫じゃーっ!」(集英社・週刊少女マーガレット、1973-1979)は土田よしこ(1948-・東京生れ)個人のみならず70年代~現在に至る少女マンガのギャグ漫画の代表作。この時代、集英社系は「ベルサイユのばら」「エースをねらえ!」など今日でも版を重ねる大ヒット作が絶えず、一方より文学的な萩尾望都大島弓子山岸涼子らは小学館系列、もっと娯楽的な作家たちは講談社秋田書店に発表誌を求めています。

まぎれもなく過去に人気作品といえながら今日「つる姫じゃーっ!」全11巻を読む人はいません。おそらく「つる姫じゃーっ!」もギャグ漫画である前に生粋の少女マンガだったからです。最終数話なんか泣けるのにね。