(図1)ヘレン・メリル「ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン」1954
(図2)ペギー・リー「ブラック・コーヒー」1953,56
(図3)クリス・コナー「バードランドの子守唄」1953,54
年度が分れているのは、最初10インチLPとして制作・発売され、後に2枚ずつ12インチLP1枚にされたからだ。内容はお墨付きで、ジャズの女性ヴォーカル名盤といえば10枚か20枚には必ず入る(ちなみに図3は10インチLPのジャケットで、12インチ盤に基づく現行CDジャケットは図4になる。図1も10インチ盤は図3に似たジャケだった)。
3人の中ではペギー・リーは映画女優でもあって、ポップス寄りの人。でも「ブラック・コーヒー」の倦怠感たらたまらない。離婚や別れに迷っている人はこれを聴いてズバッと行っていただきたい。
実はジャズ・ヴォーカルはほとんど聴かない。ジャズを知ろうと熱心だった頃は楽器演奏のジャズだけではなく名盤と言われるものをコツコツ集め、良さがわかるまで聴こうと辛抱していたものだ。
楽器演奏ジャズでもジャズマンの自作曲もあればヴォーカル曲をアレンジしたもの(歌物)もあり、オリジナル曲主義のジャズマンはとても少ない。セロニアス・モンク、チャールズ・ミンガス、オーネット・コールマンなど数えるほどだ(だがオーネットを開祖とするフリー・ジャズでは逆転し、後期コルトレーンも自作曲ばかりになる。マイルスは作曲にはムラがあるので若手メンバーにオリジナル曲を書かせた)。
それにジャズでは自分のバンドの他にジャムセッションというのがある。これは大体ブルースのテーマ(ABC、4×3=12小節)の曲と、循環(コード進行)と呼ばれるAA'BA'(8×4=32小節)の曲があり、ジャズマンのオリジナル曲の定番はそのどちらかだ。これが歌物だと非循環24小節や36小節や40小節でいちいち面倒になる。バンドが一丸となって間違えると36小節の曲が32小節、さらに24小節の倍数ブルースになったりもする。うちのバンドではあり得ないが、レギュラーバンドとセッションとは違う。無理なレベルの人まで来るのだ。
で、女性ヴォーカルだけは誰もが寛容でしたね。ぼくも歌伴は不幸にも他人の結婚式でやったけど。
不幸にも?不幸にも!