人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

「ポネット」ちゃん

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

原題'Ponette'、制作1996年フランス、カラー・110分。主演ヴィクトワール・ティヴィゾル(1996年ヴェネチア国際映画祭主演女優賞)、脚本・監督ジャック・ドワイヨン。1997年ニューヨーク映画批評家連盟外国語映画賞、1998年春、日活系で日本公開(ノヴェライズも角川文庫から)。本国では記録的ヒット。
と、珍しくも知名度があって、レンタルやケーブルで普通に見られる作品を取り上げてみました。

上映当時から興味はあったのです。ドワイヨン(1944-)はそれまでトリュフォーの賛辞を受けた第2作「小さな赤いビー玉」1975と、当時の夫人ジェーン・バーキン主演の話題作「ラ・ピラート」1984で紹介されていたとはいえ、必ずしもパッとした存在ではありませんでした。
ぼくが好きなのは怠惰な青年たちの同居生活を描く第1長篇「頭の中に指」1974と、夫の浮気をきっかけに映画全編に渡って妻が延々泣きっぱなしという「泣き濡れる女」1976でした。ドワイヨン映画は低予算で人物も少ない。夫の役は監督本人がオロオロと演じていました。

ドワイヨンはたしかに貧乏・なげやり・不安定の三本柱というヌーヴェル・ヴァーグ直系でやってきた人だけど、そういう人が幼児をヒロインにした映画をどう撮ったか?幸いメジャー作品なので設定とストーリーを書いてもネタバレにはならないでしょう。

これは4歳の幼女が交通事故で亡くしたママの死を受け入れるまでの物語です。パパは退院した幼女にママの死を告げ、幼女は従姉弟の家に預けられて保育所も転院します。4歳の彼女にはママの死が理解できず、毎晩のように戸口でママの迎えを待ちますが、だんだんママの迎えはない、だったら死んだママはどこにいるんだろう、会うことはできないんだろうか、と年長組の生徒たちに訊いてまわりますが、答えはバラバラでかえって混乱します。家出する計画も4歳なので家を出る前に見つかってしまいます。
数週間がすぎ週末、パパが迎えに来る日、早めに出た彼女は林の中に迷いこみます。そして…(ネタバレ略)「生きることを楽しむのよ」というママからのメッセージを受け取ります。

さすがに4歳の女優の存在感は圧倒的でしたが、やはり現実と演技を混同しないようにカウンセラーをつけたそうです。なるほど、ぬかりはないですね。