現行版DVDのデータでは、今回見たYouTubeにアップされているヴァージョンは編集か再生速度が違うようだ。学生時代に新宿アートシアターで見たのはどうだったっけ?完全にサイレント上映だったのは確かだ。英語タイトルだったと思う。今回見たのは仏語タイトル(これがオリジナルだろう)に伊語字幕が重なり、英語ナレーションが入る音楽つきヴァージョンだった。なんだそりゃ、という人もいると思うが、サイレント映画ではよくあることなのだ。
この作品は本国公開当時日本でも公開され好評を博した。田中純一郎「日本映画発達史」を見よう。
○アッシャー家の末裔 'La Chute de la Maison Usher' 原作はエドガー・アラン・ポー。ジャン・エプスタン製作のフランス映画。風に揺れるカーテンや人気のない部屋のドアの開閉等にスローモーション撮影をして、シュール・レアリスム的なスリルを見せる。(昭和4・7・4、武蔵野館)
そうか、武蔵野館チェーンで上映されたのか、と感動する以外まったく無内容な作品紹介に苦笑する。筈見恒夫「映画作品辞典」はどうだろうか。
○アッシャー家の末裔(仏、1928) エドガー・アラン・ポーの怪奇的な幻想小説の三つをアレンジして組み立てられたこの作品はフランス無声映画の末期を飾るにふさわしい異色の映画詩ともいえる作品である。ジャン・エプスタンは前衛映画の手法を取入れて原作のもつ怪奇と幻想味を全編にただよわせている。マルグリット・ガンス、ジャン・ドビュクウル主演。
大差ないか(笑)。後者の方が入れ込んで書いているのが伝わってくるくらいだ。しかし具体的に内容に触れるとネタバレの恐れもある作品でもある。
原作となったポー(米1809-1849)の短編小説は「リジイア」1838・「アッシャー家の崩壊」1939・「楕円形の肖像」1942の3篇(創元推理文庫「ポオ小説全集」で読める)。このうち傑作は「アッシャー家」だが、設定のうち兄妹を夫婦にして(原作の近親相姦的ムードは失われたが)「~肖像」と「リジイア」のストーリーを嵌め込む。うまい脚色だ。ゴダールが「女と男のいる舗道」1962に「楕円形~」の朗読シーンを入れたのはこの作品へのオマージュかもしれない。
ブニュエルが助監督です。そこもポイント。しかしこの結末ってあり?