フレンチ・ロック第二回はゴング(Gong,1970-)をご紹介する。フランスを代表する長寿ロック・バンドで最新作は2009年、YouTubeには昨年のライヴもアップされており、リーダー(ヴォーカル、ギター)のデヴィッド・アレンが今年74歳なのを考えると(ジョン・レノンより2つ、ミック・ジャガーより5つ年上なのだ)この現役感はすごい。
なにしろ歴史の長いバンドなので元メンバーは20人以上に上る。ツアーごとに過去のメンバーや新人を招集するが、去年のライヴ映像では歌はもちろんギターでもばりばりリフを刻み、リード・ギターでは元祖ヘタウマ変態ギターを炸裂させていた。そう、アレンさんは故フランク・ザッパよりも2歳年上なのだ。
さらに初めてライヴ映像を見てこれまで持っていたアレン像がぶっ飛んだ。アレンは惑星ゴングから透明妖精電波を受信して音楽活動しているそうだが、あまりに面白くて目が離せない。頭に道化師の三角帽子をかぶり、まるで予測がつかないクネクネ踊りをするのだ(だからヴォーカル専念だとさらに面白い)。70年代の人気も納得。アレンを見ているだけでも面白い。さらにゴングは屈指の凄腕集団だった。
1996年の初来日公演では「日本のミナサン、ワタシは…アホー!」という絶叫から怒涛の演奏になだれこんだそうだ。この人は偉い。ジョン・レノンよりも偉い。
90年代から00年代はまさかと思うようなヨーロッパ圏のカルト・バンドが次々活動再開し(大半のバンドは80年代は見向きもされず、音楽活動から遠のいていた)、まさかの来日公演が相次いだ。ファウスト、アモン・デュールll、スラップ・ハッピー、マグマ。なかでもゴングは絶対無理だと思われていた。
なにしろゴング結成のいきさつがドラッグ絡みなのだ。アレンはもともとオーストリア人のヒッピーで、イギリスのバンド、ソフト・マシーンのリーダーだった。ところがソフト・マシーンがデビュー・アルバム用のデモ・テープを制作するためにフランスに渡り、ミニ・ツアーも終えて帰国しようとしたところ、アレンひとりがドラッグ所持でイギリスに入国できずフランスに戻って始めたのがゴングなのだ。
画像1はサード・アルバム「カマンベール・エレクトリック」1971、画像2は「エンジェルズ・エッグ」1974、画像3は「ゴング死す」1978。どれも最高です。