人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(7)モナ・リザ&タイ・フォン

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フレンチ・ロック(7)はモナ・リザ(Mona Lisa,1974-)とタイ・フォン(Tai Phone,1975-1979)をご紹介する。格は同程度なのだが、日本での知名度は大きく水をあける。
タイ・フォン(当時の表記はタイ・フーン)は大手ワーナーで70年代から日本盤が発売されて熱心なファンがついた。モナ・リザはマイナー・レーベルのクリプトで日本盤は95年にやっと1枚CD発売された。
本国での人気はモナ・リザに軍配が上がるが(現在でも活動中)、日本でのタイ・フォン人気の高さは初期2作の世界初CD化(93年)が洋楽CDのヒット作になったことでもわかる。

アトールとタイ・フォンがアンジュやモナ・リザと違うのは、ロックだからだ。歌詞も英語で、アンジュ影響下のシャンソン系ヴォーカルが語りと歌の中間的スタイルなのと違って真っ直ぐメロディを歌う。アトールもイエス影響下のストレートな英ロック・スタイルだが、タイ・フォンはヴォーカリストを含めてヴェトナム系メンバー2人(フランス人3人)という人種混合バンドで、アトール以上に英ロック的なのが特徴。
しかも70年代には日本でもラジオのAMヒットになった。アルバム全曲がマイナー曲。哀愁プログレプログレ演歌と半分苦笑されながら人気を博した。クイーンやアルフィーが好きな人ならストライクど真ん中だろう。
アルバムは3作しかないが、日本でのAMヒット『シスター・ジェーン』を含むファースト「恐るべき静寂」とセカンド「ウィンドウズ」1976(画像2)は甲乙つけがたい。ちょっとやりすぎなんじゃないかというくらいの哀愁ロックをやっている。それがタイ・フォンの魅力だ。

モナ・リザはライヴ・バンドとして高い人気だったようで、CDボーナス・トラックのライヴを聴いても観客にウケているのがわかる。アンジュの子分バンドでヴォーカルもサウンドもそっくりだが、師匠同様英米のロックからは出てこないスタイルに魅力がある。歌に演奏が自在に絡んで行くシャンソンのロック化もアンジュの発明で、フランス語詞も語りに近く、英語的な発音でロック的な乗りを出そうという手法は禁じ手にしているのがいさぎよい。
70年代の全5作はどれもいいが、第4作「限界世界」1978(画像1)が代表作か。アンジュよりサウンドが派手なのが若手らしい。