人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(20)ラヴ・ロックというジャンル

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このシリーズを始める時に「大物イ・プーとラヴ・ロック勢はポップスと見なして取り上げない」と言った。それに大物以外は数組ずつ組合わせ紹介にするとも。だが「約束は破られる、知ってるだろ?」(ストーンズ『エモーショナル・レスキュー』)とミック・ジャガーも歌っている。ビリエット・ペル・リンフェルノやマウロ・ペローシに突然スポットを当てた以上、イ・プーを取り上げないのは公平を欠く。イ・プーを紹介した以上ラヴ・ロックに一回を割かないのは視野狭窄だろう。ではラブ・ロックとは?

簡単に言うとアメリカのフィレス(フィル・スペクター)サウンドソフト・ロックの影響をカンツォーネの伝統とミックスしたポップ・ロックがラヴ・ロックで、それを確立すると共に頂点を極めたのがイ・プー「オペラ・プリマ」1971、「ミラノの映像(アレッサンドラ)」1972だった。筆者ですら機嫌のいい時には「~アレッサンドラ♪」と鼻歌が出るくらいポップでキャッチーだ。ガロの『学生街の喫茶店』みたいな曲もある。テンプターズの『今日を生きよう』も元々イタリアのポップスに訳詞をつけたものというくらい、伊日では音楽嗜好が重なる部分がある。
そしてアメリカのソフト・ロックも多くはイタリア系の二世、三世によるもので、カンツォーネやオペラをポップス化・アメリカナイズしたもの。フィレスのライチャス・ブラザースなど好例だろう。音楽は循環しているということだ。

掲載した3バンドはどれもラヴ・ロックのグループで、デリリウム以外は現役を続けているようだ。
○ディク・ディク「ある女性に捧げる愛の形」1972(画像1)
デリリウム「セカンド(愚か者と村)」1972(画像2)「'71-'75」2005(画像4)
○ジャルディーノ・デイ・センプリチ「閑かな庭園」1975(画像3)

このうちディク・ディクとジャルディーノはイ・プーで慣れた人には非常に評価が高い。彼らのアルバムでもロック色とラヴ色(?)のバランスがよくロックのリスナーも快適に聴ける。
デリリウムは日本では不人気バンドだが本国では大事にされているようで、画像4は2枚組2時間半におよぶアルバムとシングルの全集。実は第一作「ドルチェ・アクア」(画像4右上)がいちばんラヴ・ロックだが好みで第二作にした。アルバムは第三作(画像4左下)まである。