人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

スペインの70 年代ロック

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スペインの70年代ロックから3枚上げればこれで決まり!というくらいこの3作は定評がある。いや、実はこれくらいしか知られていないというのが実情なのだが、どれも少し聴いただけでも「参りました」というくらいインパクトが強く、アルバム1枚テンションが持続するのだ。もちろんヴォーカルはスペイン語。歌もスパニッシュ・ギターもこれでもかというくらいに泣く。正直言ってやり過ぎだと思うが(そこがアルゼンチンのロックとの違い。アルゼンチンはほどよく品があり、洗練を感じさせる)これくらいやらないと演るほうも聴くほうも納得しない国民性なのだろう。
掲載アルバムは
○ロス・カナリオス「四季(シクロス)」1974(画像1)
○グラナーダ「大地のささやき」1975(画像2)
○トリアナ「エル・パティオ」1975(画像3)

このうちカナリオスは元々ポップス系グループで、ヴィヴァルディの「四季」に現代社会批判の歌詞を乗せてどーんとLP2枚組の大作に仕上げた、アフロディティス・チャイルド「666」(ギリシャ・74年)と並ぶ非英米70年代ロックの金字塔が「シクロス(四季)」なのだった。どれだけ金字塔かというと、発表以来一度も廃盤になっていないくらいなのだが、それを言えばグラナーダ(全3作)とトリアナ(多数)もそうで、さすがに筆者もトリアナ全作品は把握していない。定評通り甲乙つけがたい初期3作でいいと思う。メンバーはヴォーカル+スパニッシュ・ギター、キーボード、ドラムスで、サポートにリード・ギターとベースが入る。このジャケットはなかなかいいが、音はこんなB級西部劇のようなものではなくて、情熱と哀愁のフラメンコ・プログレッシヴ・ロックです。

カナリオスやトリアナは臭くてちょっと…という人でもグラナーダなら癖が少なく、聴きやすいのではないか。スペインきっての天才マルチ・プレイヤーと呼ばれたカルロス・カルカモが仕切った、やはりプログレッシヴ・ロックの部類に入るバンドで「スペイン75年」(76年)、「過ぎ去りし街」(78年)のそれぞれ作風の違う3作のアルバムがあるが、第一作「大地のささやき」がいちばん率直な抒情性に溢れており、次作以降はインストルメンタルになってしまうがカルカモはヴォーカルも味があるのでやはり第一作がいい。やり過ぎにならないセンスの良さはあるが、全6曲多彩にすぎるきらいはある。