実は今回は半分ポーランド、半分ハンガリー。どちらも国家公認音楽家2組ずつしか思いつかなかった。90年代以降は民主化と共に一種のリヴァイヴァルがあって、特にキング・クリムゾン、ジェネシス、イエスの影響は北欧と東欧に大きく、「ポーランドのクリムゾン」と評価の高いリザードが近年では代表だろう。
上2枚はポーランド。
○ニエーメン「ストレンジ・イズ・ジス・ワールド」1972(画像1)
○SBB「ウェルカム」1978(画像2)
アンジェイ・ワイダ「夜の終りに」を見た人なら50年代ポーランドのジャズ熱は印象に残っていると思う。ヌーヴェル・ヴァーグに呼応してロマン・ポランスキー、イェルジー・スコリモフスキーが20代で監督デヴューする等、先進国の先鋭文化をいち早く取り込む国民性があった。
ニエーメンは60年代から活動している国民的歌手で、ポップスから出発してシンガー・ソングライターの実力者になった。歌手としては熱唱型。このアルバムは歌と同じくらい暑苦しいバンドをバックに歌う。
そのバンドがSBBで、やはり暑苦しいサウンドで人気だったが第七作「ウェルカム」で適度にヴォーカルとビアノを前面に出した聴きやすい作品を作った。今も現役だが、この作品を最高傑作とする人は多い。
次はハンガリー。
○ソラリス「火星年代記」1983(画像3)
○オメガ「ガンマポリス」1978(画像4)
また80年代ものが入ってしまったが、日本では30年近く愛されている作品なので大目に見てほしい。バンド名もアルバム・タイトルとコンセプトも誰でも知っているSF小説から拝借しているインストルメンタル作品だが、これが実に遅れて来た70年代ロックの逸品といった感じなのだ。
また、日本の非英米圏ロック(多くはユーロ、特に独仏伊の三大国)のリスナーにはドイツの三大不人気バンドといえばジェーン、バース・コントロール、グローブシュニットだろうがドイツ本国では人気があるように、ハンガリーの国民的英雄バンド・オメガほど本国での地位に対して日本では不人気バンドはあるまい。この醜悪なジャケットには絶句するのみ。携帯電話では画像4はクリックしなければ出ないので、あえてソラリスと逆年にしたのだ。ジェーン以上に大味。この作品が9作目。結成40年、ハンガリーといえばオメガというのは動かない。英米ロックの粗末な代用品でしかないかもしれないが、外国人には文句をつける権利もまた、ありはしないのだった。