人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(38a)ホレス・パーラン(p)

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ホレス・パーラン(Horace Parlan,1931-,piao)までジャズの巨人扱いしていいものかと思うが、今も現役の長老ピアニストで、盟友ブッカー・アーヴィンの倍の長寿になる。同世代の仲間がほとんど鬼籍に入ったジャズマンの老境を思うと切ないものがある。
パーランは57年~59年はチャールズ・ミンガスのバンドに在団、独立後59年~63年はブルー・ノートに在籍。64年~現在はコペンハーゲンに在住。63年のBN最終作から74年のカムバック作「アライヴァル」(ステープルチェイス盤)まで10年間録音がない。復帰後も好調だが、ここでは渡欧前に絞ってご紹介したい。

まずいきなりパーラン作品ではないが、最も敬愛するというピアニスト唯一のリーダー作「イントロデューシング・カール・パーキンス」'Introducing Carl Parkins'1955(画像1)が素晴らしい。パーランは小児麻痺で右手の指が2本不自由だったが、パーランより3歳年上のパーキンス(1928-1958、29歳・交通事故死)は左手の指がほとんど不自由だった。そこで彼は左腕を鍵盤に水平に置き、肘と拳でコードを弾く奏法を編み出した。パーキンスはL.A.でアート・ペッパーらと活動していた人だから、パーランはL.A.出身のミンガスから教えられたのだろう。全11曲中スタンダード4曲、ガレスピー'Wood'n You'、6曲のオリジナルはどれもいいが軽快な'Way Cross Town'、艶やかな'Lilics in the Rain'が白眉。
ちなみに筆者は新宿の某ジャズ専門店でこのLPの本国初回盤がかかったのを聴いたことがあるが、まるで目の前でパーキンスが弾いているようだった。

パーランのミンガス・バンド初参加はCharles Mingus'A Modern Jazz Symposium of Music & Poetry'57.10(画像2)だが1曲だけで、次に参加したのは映画「アメリカの影」のサントラ(58.11)、まともな参加は「ブルース&ルーツ」'Blues & Roots'59.2(画像3)と「ミンガス・アー・ウム」59.5になり、同年11月の「ミンガス・ダイナスティ」では早くも独立している。だがこの2枚だけでもパーランは生涯ミンガス門下生に数えられる。