人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「罪と罰」について

個人的な印象では、離婚時のトラブルで拘置所生活を経験する前と後ではまるで作品の迫真性が違って見えました。作品のテーマ自体は「人は他人の運命を左右できるか(主人の強盗殺人、後半の受刑生活)」でいいと思いますが、主人公にも読者にも最後まで結論は…

暗い感覚(わからない読書・3)

つい前に「患者側から見た精神医学」というべき記事を載せた。これはぼくのような立場の人間が書くからこそ多少の意義があることで、専門医とは異なる視点で、しかも医学上誤りがあってはならない。ぼくには本来手に余る作業なのは明白だった。 ただ書くこと…

ストックトン「女か虎か」

これからご紹介するのはアメリカ本国では中学生ならみんな一度は読む話、ポオの「黒猫」やO.ヘンリーの「最後の一葉」並みに誰もが知る短篇小説とのこと。ならばさぞかし著名作家かと思うのだが、作者はこの一篇のみで名をとどめる凡庸な娯楽小説家だったよ…

「こころ」追補

どうもご感想ありがとうございます。痒いところに手が届くというか、または噛んで含めるようなというか(笑)これで高校生以来のモヤモヤも少しは晴れましたでしょうか?やればマトモな文学論めいた文章も書くんだな、ときっかけをくださってありがとうござい…

補遺「こころ」総論

はい。ご質問承りました。まずは転載させてください。 「自殺の起因となったのは「(女にうつつをぬかして)向上心のない者は馬鹿だ」」という言葉ですよね。当時のインテリには馬鹿という言葉はそれほど屈辱的だったのでしょうか?それとも他に何かの要素があ…

「こころ」総論(訪問者のかたへ)

そうですか。高校の時に読書会でお読みになったんですね。感想は不評でおもしろくない、わからない、わざとらしいの連発だった?ごもっともです。あんな景気の悪い自殺小説、しかも女性の描き方は曖昧だし語り手の青年の性格もつかみどころがない。物語に起…

ピンク・レディー

実は好きだったりする(笑)。当時は歌謡番組全盛、バラエティも必ず歌謡コーナーがあったし、記憶が正しければ77年の春にデビューしている。その年ぼくは中学1年生だから、中学時代はまるごとピンク・レディーの全盛期に重なる。男性歌手だと沢田研二だから、…

「こころ」の真相( 下)

リリーちゃんはどこへ行ってしまったのだろう?ぼくも半ノラの猫に屋根を貸してきたが死なれた経験も失踪された経験も多い。 ノラ猫の平均寿命はせいぜい2年という。帰るとアパートの隣の空き地で外傷もなく死んでいたり台所の床で嘔吐して死んでいたりした…

「こころ」の真相(上)

ブログをやってらっしゃる方はご自分でもお書きになっているくらいだから、読書好きの方も相当いらっしゃると思われる。まあ文章などは必要最小限読み書きできれば日常生活に支障はないのだが、遊びというのはルールを周知しているほうが腕も上がるし楽しめ…

南正人「THIS TRAIN 」

このブログで現代詩とならんでもっとも反響が少ない、というか皆無に近いのが音楽部門だが、どちらも理由は想像できる。コメントしようがないからだ。ぼくだっていきなり訳のわからないものを出されたらちょっと手が出ない。海のものとも山のものともつかな…

誰がマンボに'ウッ!'をつけた?

はい、いったい誰がつけたんでしょうねえ?これはもともとアメリカ40年代のジャンプ・ブルース(ジャイブともいう)が原曲で、原題の直訳で我妻光良&スウィンギング・バッパーズが取り上げている。原題?'Who Is Added 'Uh!' To Mambo?'とかまあそんな感じだ…

亡き友人からの贈り物

堀口さんはぼくより5歳年上、人に紹介されすぐ親しくなった。病気になる前はローリング・ストーンズ・ファンクラブの重鎮だった人だ。ストーンズの話題になると尽きなかった。5歳年上は大きい。ボブ・マーレイやO.V.ライトも見ている。 堀口さんはリンパ腺癌…

江戸川乱歩の功績と大罪(2)

前回の記事では乱歩の功績と罪状について「乱歩が亡くなった時、関係者みんなが胸を撫で下ろした、と関係者のひとりが書いています。性格は貪欲で狡猾、新人潰しばかりか盗作・代作(少年探偵団シリーズでも)とにかく金に汚くプライド高く傲慢で打算的エゴイ…

AEDと燕の巣( 日記・7月2 5日)

「ドアを開けるとアラーム音が鳴ります!」 「緊急時にご使用ください」とボックスの蓋に注意書きがある。残念ながらお世話になったことも使っているところも見たことがない。アメリカ映画ではお目にかかったような気がする。映画の中ではよく人が卒倒するか…

女嫌いのフェミニスト(3)

これから書こうとしていることは前にも書いたかもしれない。このブログではなくても友人へのメールか日記の中での回想、または創作ノートみたいなもので書いた覚えがある。 ブログ始めてようやく3か月目に入ったが、鬱の真最中に始めて3週間目くらいに鬱のピ…

精神医学への認識について

今回はうまく書けるか自信ないが、精神医学への認識の問題について。というのは、これだけメンタルクリニックが市民権を得ても精神医学への認識は曖昧なままに見えるからだ。 「どうしましたか?」 「不眠と食欲不振が」 「ではお薬を」 これではまるで近代…

うなトロねばサラダうどん

また変なウナギ料理の話で恐縮します。夕方にスーパーで見かけ割引だったので夕食にと買ってきたのがこれだ。わかります? 先日の「うざく」は高級料亭でも出されるとコメントいただいたが、これはスーパーの惣菜弁当ならではの創作メニューだろう。なにしろ…

モーツァルトの死因を巡って(1)

余談を承知で夏休みらしい書き出しにしたい。もちろん永遠のテーマ、海と山のどちらが好きか?だ。ぼくは海にも山にも恵まれた県に育ったので義務教育で海と山の遠足があった。子供にとって、あとは親の好み次第になる。幼児の頃から海1:山3くらいの割合だっ…

地デジチューナー( 日記・7月2 2)

今日は市役所で地デジチューナーをもらってきました。 非課税世帯はチューナーをもらえるのです。 その場でくれました。 せっかくなので市役所前の広場の彫刻に乗せて写真を撮りました。 帰り道、夏休みの昼間なのに誰もいない児童公園の前を通りました。 も…

ヤキトリ屋と時計台の駅前の出会い

駅の東西に、線路を挟んで、直線距離なら百メートルの位置に影の薄い感じの時計台があり(今回至近距離で撮ってみた)、なんとなくセコい感じのプレファブのヤキトリ屋がある。ヤキトリ屋の中は狭い。カウンターのみで5席しかない。営業時間も短い。夕方4時か…

再録・谷岡ヤスジ「ウナギの死」

1か月前に谷岡ヤスジの傑作「ウナギの死」を紹介して好評を得た。昨日の土用に乗じて蒲焼を食した方もさぞかし多かろうと思い、贖罪の意味で共に再読いただければ、と再録する。原作は5ページのギャグマンガである。では「ウナギの死」を。 ・シリーズタイト…

「ドグラ・マグラ」(3)

一応公約通り「ドグラ・マグラ」とはどんな話か前回の締めくくりでまとめた。だが小説や映画で「ドグラ・マグラ」をすでに知っている人に疑問を持たれても仕方ない。そんな話だったっけ?もっとなにか、別の話だったような気がするけど…。ではどんな話だった…

土用の丑の日(日記・7月21日)

これはなんでしょう? スーパーで買ってきました。 いちばん安いウナギのお惣菜でした。 「うざく」というそうです。 春雨とワカメの酢の物の上に 小さいウナギの蒲焼が乗っています。 ではハウ・マッチ?といいたいところですが さびしいのでやめます

喫煙の害について

タイトルはチェーホフの短篇小説から。町の中流どころの名士の中年男が講演会でこの題目で演説するが、話せば話すほどまとまりがつかなくなりしどろもどろになって終わる、という話です。 ゴールデン・バットについての記事を掲載してからちょっと気になって…

ゴールデン・バットとは何か?

「あさひ」や「しんせい」亡き今は日本最古で、国産・輸入すべての中で最安値のシガレット・ブランド、それがゴールデン・バットです。先日200円に値上がりする前は140円でした。大正時代にそれらの機械紙巻きタバコが出てくる前は自分で葉っぱを紙巻きにす…

時をかける少女(日記・7月20日)

さっき台風の雨の中をびしょ濡れになって帰ってきた。この夏は朝は納豆、夜食は冷奴で乗りきろうと豆腐を買いに行った。ローソンの豆腐は震災後一丁105円に値上がりしていたが53円に戻った(でも2年前に350グラムから300グラムになって実質値上げのままだ)。…

夜ごと太る女のために

タイトルは70年代イギリスの渋いロック・バンド、キャラヴァンのアルバム'For Girls Who Grow Pump In The Night'(1973)より。アルバム・ジャケットは笑みを浮かべて熟睡する女性の寝姿でしっとりと上品、音楽も緊張感とくつろぎの配分がほどよく、曲もアレ…

江戸川乱歩の功績と罪(1)

ぼくも「怪人二十面相」シリーズ、というかポプラ社の少年少女向け江戸川乱歩全集が小学校中学年からの愛読書で、図書室・図書館から借りて全巻読破したものです。乱歩が亡くなった時、関係者みんなが胸を撫で下ろした、と関係者のひとりが書いています。性…

燕の巣

これまで気がつかなかった。ぼくが気づいた時には親鳥が餌を与え終えてふたたび飛び立つところだった。子供の頃住んでいた父の勤務先の社宅にも毎年必ずやって来る燕の巣が軒下にあったので、燕には親しみを感じている。駅前の銀行の出入口の庇にも堂々と燕…

女嫌いのフェミニスト(2)

前回は途中までで「これじゃ1回では収まらないな」と早々投げてしまい、後半はただの日記と化して次回に見送ったのだった。幸い前半は業界裏話みたいなものだったからそれだけでまとまりがないでもない。だがぼくはそこからタイトル通りの話題に持っていくつ…