人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

2011-11-01から1ヶ月間の記事一覧

小熊秀雄『ふるさとへの詩』

小熊秀雄のプロフィールは前回紹介した。初期の作品にピークがある、と言いながら晩年の佳作を取り上げたのは、小熊の詩は好調なほど長いからだ。これも簡潔さ・暗示を好む日本の詩では珍しい。第一詩集から紹介します。『ふるさとへの詩』 ふるさとよ、 私…

今日の昼食は

ごらんの通り、ラーメン屋でラーメンを食べてきた(正確には火曜)。みなさんの期待に沿えなくて残念だが、これまで何度も話題にしている不気味サンマー麺屋ではない。あそこはちょっと、地獄の道連れがいないと覚悟が決まらない。男のメンツをかけてようやく…

小野十三郎『葦の地方』ほか

プロレタリア文学運動は日本では小説よりも詩が先行したという事情もあり、アナーキズムとコミュニズムにともに立脚する詩人も多い。大阪の詩人・小野十三郎(1903-1996)もそのひとりで、第一詩集「半分開いた窓」1926のダダイズムから第二詩集「古き世界の上…

立原道造『はじめてのものに』

立原道造は、現代詩の人気詩人のなかでも、私見ではもっとも評価の難しいひとりになる。立原のファンがその魅力とするところを、反対者にはそれこそが批判の核心に挙げるからだ。そして支持者も反対者も同一の点で見逃す面がある。つまり立原を読もうとすれ…

山之口貘『喪のある風景』ほか

山之口貘(1903-1963)は沖縄生まれの詩人。19歳で上京後は数十種類の職業を転々としながら、主義としてのアナーキズムではなくホームレスの立場から特異な詩を書いた。詩集に「思辨の苑」1938、「山之口貘詩集」1940、「定本山之口貘詩集」1958、「鮪に鰯」19…

小熊秀雄『黒い洋傘』

「…そう、日本の大詩人といえば高村光太郎、萩原朔太郎、金子光晴、宮沢賢治、それから小熊秀雄と山之口貘。この6人です。あ、中原中也もいいですがね」 と小田切秀雄教授は言った。高村をはじめとする大家と同等に小熊・山之口を評価するのは決して一般的と…

小熊秀雄と山之口貘

「みなさん、子供は持った方がいいですよ」 と小田切秀雄文学部長教授(1916-2000)は言った。「子供を持つことで得られる経験は実に大きい。人生経験が二倍にも三倍にもなります。あ、それから自動車免許だけは絶対取らせた方がいい。私は免許を持っていない…

年末年始の過ごし方

年末年始は入院が恋しい、というよりも、生活上の便宜による一時避難という感じです。あったかいし、ひもじくないし、ひとりを避けられるし。ひとり暮しで療養中の精神障害者、経済的には生活保護受給者という条件のなかで、どうやってそのときどきを乗り切…

清岡卓行『石膏』

今回は戦後の恋愛詩のなかで最高の一篇と賞される作品を。戦後俳句の森澄雄、 除夜の妻白鳥のごと湯浴びせり (句集「雪礫」1949) と並んで、夫人の神聖化がすごい。文句あるなら前に出ろ、というくらいの迫力がある。 清岡卓行(1922-2006)は大連生まれの詩人…

チョコレート・ウォッチ・バンド

ザ・エレクトリック・プルーンズの回で触れたように、アメリカではビートルズの大ブレイクとイギリスのバンドの大量侵出をきっかけに、それまでプロの世界しか門戸が許されていなかったロック・ビジネスはアマチュア・バンドをどんどんデビューさせるように…

夢判断

12時間も眠ると寝汗がじんわりする。すぐに起き出すと寒いので寝汗が乾くまで待ったが、なかなか乾かない。確か明け方にも寝汗を意識していちど目を覚まし、また眠ったのだった。 その時、布団のなかの自分のからだの汗ばみからふとした連想作用が起こった。…

草野心平『秋の夜の会話』ほか

草野心平(1903-1988)は福島県生まれの詩人。数十種類の職(自営。一番有名なのはヤキトリ屋)を渡りながら、持ち前の親分肌と世話焼きの良さで、主宰する同人誌「学校」→「歴程」からつぎつぎと不遇詩人を世に出した功績も詩作品におとらず大きい。宮沢賢治、…

女が神聖でどこが悪い?

--さんこんにちは。コワい意見をいただいてしまいました(笑)。でもすごく的確な疑問なので、待ってましたという感じです。本文で紙幅がなくなって書かずに済ませたことでもあります。 ご質問(または意見)は、女性を過剰に美化・神聖化した詩のどこがいけな…

探し猫のゆくえ

探し猫の貼り紙を図版に載せてタイトルにもしたが、意味はない。数ヵ月前の写真だ。猫は戻っているだろう。または還らないままだろう。飼い主にとって、それはとても重大な違いだ。だが、猫にとってはどうだろうか。自分の意志または選択で飼われている猫と…

高村光太郎の女性観

**さんこんにちは。高村光太郎の戦後生活はその通りですが、それは詩人の中で完結しているモラルでしかないのではないか、という指摘が、自己形成史と自己批判の詩集「典型」1950の発表時からありました。老齢にして大変苛酷な隠遁(本人の表現では「自己流嫡…

プリン体ってどんな味?

##さんこんばんは。子ども向けアニメや特撮ものは好きですよ。子どもの時は当然好きだったし、親になって子どもたちと一緒に見ると、子どもって本当に純真に見ているからぼくもあらためて楽しめるようになりました。ジョニー・ディップも同じようなこと言っ…

ほめられた

鬱の徴候と食欲不振は表裏一体とすれば、これが本来の食生活なのでしょうが、健全に惰性で食事することができています。体力の維持さえできれば、この冬は病状悪化をまぬがれられそうです。 今日は主治医に「娘さんとは会えない、病気で仕事にはつけない、そ…

萩原朔太郎『薄暮の部屋』ほか

萩原朔太郎(1886-1942)の第二詩集「青猫」は1923年に刊行された。詩人38歳。第一詩集「月に吠える」から6年、実現はまだ2年先だが、都会(東京)生活の夢を先取りしたのが「青猫」詩篇で、「月に吠える」の鋭い文体からメロディアスで反復的な文体に変化してい…

行って来ました

行って来ました総合病院。尿酸値は一進一退と出たが、正常値の上限を少し越えているだけなので服薬続ければジグザグ状に下がっていくでしょう、との予想。シャトルバスに1本乗り遅れたので病院内の売店で少年ジャンプを立ち読みし、廊下に掲示してある避難経…

これから検査です

今日は午前中に総合病院で尿酸値の検査、いったん帰宅して、午後はメンタル・クリニック受診というあわただしい日だ。電車に乗るのはこういう機会しかないが、乗りたくないに決ってる。わずかに楽しみといえば、検査後に牛丼屋にでも寄ろうか、年内最後の美…

夏目漱石「行人」

(i) 今回は夏目漱石の長篇小説の中でも最も難解で退屈な失敗作のひとつ(ひとつ、というのは、初期の数作を除いて漱石作品は賛否両論かまびすしいからだ)、と見なされることの多い「行人」1912-1913(大正元年-二年)を参看してみたい。次々作「こころ」と共に…

高尿酸血症のお勉強

都民の皆さまこんにちは。マック赤坂です。これから高尿酸値血症(尿酸値が高い症状)を共に勉強したいと思います。スマイル! 1・高尿酸血症とは体の中の細胞が新陳代謝する時にできる古い細胞の残りカスや、エネルギーの燃えカスである尿酸が、血液中に多く…

中原中也『また来ん春……』他

『また来ん春……』 また来ん春と人は云う しかし私は辛いのだ 春が来たって何になろ あの子返って来るじゃない おもえば今年の五月には おまえを抱いて動物園 象を見せても猫(にゃあ)といい 鳥を見せても猫(にゃあ)だった 最後に見せた鹿だけは 角によっぽど…

アンパンマンのパン

はい、これがぼくの住んでる最寄り駅の駅前パン屋のアンパンマンぱんです。まあ人気あるんだろうな。150円というのは高いのか安いのかわからない。子供が喜ぶのなら安い気もする。中には小倉が包んであるのだろう。しっかり名古屋対応にもなっているのだ。 …

蒲原有明『茉莉花』『月しろ』

蒲原有明(本名隼雄、1876-1952)は東京生まれ。明治最高の象徴詩人。その割に定本全集が編まれない、研究者がいないという不遇な存在でもある。 有明の代表作は明治41年(1908年)刊行の第四詩集「有明集」だが、有明の詩はもう古いと若手詩人から散々な攻撃を…

ジャケ買いの3 枚

本日はやる気がないので露骨に埋め草で責をふさがせていただく。 それで趣旨はタイトル通りで、図版で一目瞭然でございます。ぼくは携帯1本でブログやってるので切手大にしか見ることができないが、パソコンのかたはいかがでしょうか?上から、 ●キャプテン…

高村光太郎『根付の国』ほか

明治以降の近-現代詩の中で大家と目されながら、三好達治とともに高村光太郎(1883-1956、東京生まれ)の評価はいまだに揺れている面がある。 もちろん誰もが名を知る詩人だが、あまりに多彩な上に時代的背景の反映も大きく、全体像を知るのが困難なのも光太郎…

エレクトリック・プルーンズ再説

いや失礼しました。数日前60年代アメリカの西海岸バンド、ジ・エレクトリック・プルーンズを取り上げて、ザ・シーズやザ・チョコレート・ウォッチ・バンド同様ビーチ・ボーイズやザ・バーズとは比ぶべくもない泡沫バンドと斬り捨ててしまった。 その後数日手…

伊良子清白『漂泊』

伊良子清白(本名暉造、1877-1946)は鳥取県生まれの詩人。京都で医学を学び、学生時代から詩誌「文庫」の中心的詩人となる。東京で医療官務のかたわら詩作、明治39年(1906年)処女詩集「孔雀船」を刊行。発表作品160篇から18篇を選び抜いた、清白唯一の詩集と…

これなあに?どうして?

ぼくは「これなあに?」だけではなく必ず「どうして?」と訊く子だった。今もそうだ。 で、これはなにかといいますと、コンビニのレジ・カウンターに貼り付けてある政府からの警告書だ。 ぼくはなにかというとタバコ税で補填しようとする政府のやりかたは気…