人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

2012-01-01から1ヶ月間の記事一覧

日記・後篇(1 月30日月曜 )

(前篇より) その回答がこれ(写真下)だ。今朝病院に行く直前に玄関のドアポストに投げ込まれていた。ごらんの通り東京電力の検針・請求予定票。いやあ毎月見ているが、こんなものまでブログのネタになる日が来るとは思わなかった。 ぼくは20A契約でいつも基…

日記・前篇(1 月30日月曜 )

平成24年1月30日(月)・晴れ。ぼくの使っている保温ポットはすぐ湯が冷める。実家が譲ってくれた電気ストーブはちっとも暖まらない。それで冬の夜は閉店まで徒歩40秒のスーパーの休憩所に行っていた。 一昨年から去年にかけての冬は3ヶ月まるごと精神病棟に入…

ボブ・ディラン『悲しきベイブ』

「アナザー・サイド・オブ・ボブ・ディラン」1964はボブ・ディラン(1941-)の4作目で、ギター弾き語りのフォーク・スタイルのアルバムはこれが最後になる(後に企画的作品では復活)が、すでに楽曲はいわゆるフォークからポップ/ロックに作風を変えている。 ス…

復刻・千田光全詩集(1)

千田光(1908-1935・東京生れ)は北川冬彦との関わりで同人誌「詩神」からデビューし、北川が「詩と詩論」から独立創刊した「詩・現実」(1930年6月~)に依った散文詩詩人。「現代詩手帖」1971年1月号に「千田光詩集」11篇が組まれ、1981年「千田光詩集」が「左…

復刻・市島三千雄全詩集(1)

市島三千雄(1907-1948・新潟生れ)は投稿詩を萩原朔太郎に見出だされた。「現代詩人全集第二巻・近代2」(角川文庫1963)に収録された11篇(他に2篇)・15ページが市島の全詩集になる。萩原をして「一種の天才である」と言わしめたデビュー作を読んで見よう。 『…

市島三千雄・千田光全詩集前書き

予告していた「ダダイスト・辻潤」が中断しているのに大手拓次・山村暮鳥の再読を始めてしまったこのブログだがそうなる必然はあって、プレ・ダダイズム、プレ・シュルレアリスムの線上にはまずこのふたりの詩人が上がる。だが不遇詩人となると上には上があ…

頭脳警察70's( 後)

(前篇より) 70年代頭脳警察には他に単独の公式ライブCDとして「頭脳警察LIVE!」1990(録音1975年)、「1973・10・20日比谷野音'聖ロック祭'」2001の2組の発掘ライブ、さらには限定版発掘10枚組ライブがある。10枚組はメンバー・チェンジによるライブの変化を楽…

頭脳警察70's( 前)

(前半は前回の頭脳警察の記事に加筆・再掲載したものです) 頭脳警察は1969年12月、パンタこと中村治雄(ヴォーカル、ギター、作詞作曲)とトシこと石塚俊明(ドラムス、パーカッション)により結成。印象的なバンド名はフランク・ザッパ&マザースの'Who Are The…

加川良『ゼニの効用力について』

加川良(昭和22年滋賀県生れ)は岡林信康、高田渡、遠藤賢司と続くアングラ・フォークの流れで高田渡の推挽でデビュー、70年のフォーク・ジャンボリーで斎藤哲夫とともに一躍注目され、71年6月にアルバム「教訓」がリリースされる。 『教訓1』 命はひとつ 人生…

借金について( 日記1月2 6日)

平成24年1月26日(木)。昨夜は3時近くまで夜更かししたのに朝は6時に目が覚める。昨日クワバラくんと会ったからかもしれない。彼は今年40歳になるが、調子はだいぶ悪そうで、糖尿病ならではの生気のない表情と緩慢な動作だった。 クワバラくんとぼくは入院の…

日記(1月2 5日・続き)

(続き)ジャンボのCDが見つからないのはまたか、とがっかりした。一昨年暮れの入院ではぼくは夜昼問わず錯乱状態で、幻覚と覚醒が交互に訪れるので現実が判らなくなり、寝タバコで焼死か一酸化炭素中毒死寸前になり、持てるだけの本やCDをいくつも旅行用カバ…

日記(1月2 5日水曜)

平成24年1月25日(水)。目が覚めると4時半。これが昼寝から覚めた4時半ではなくまだ夜も開けない早朝だと気づくのにしばらくかかる。寒い。しかし食パンを切らしているので外が明るくなるまでコーヒーで温まり、ローソンへ。住まいから徒歩1分以内にコンビニ3…

今月買ったCDより

月もなかばになると懐に来月までのゆとりができて、妙に宵越しの金をもっているとうっかりヘルスになど行ってしまいそうになるのでやばい。躁鬱病の人間は軽鬱で安定しているかぎり性欲など無縁だが、ひとたび過活動モードに入ると見境なしになってしまうの…

大手拓次『陶器の鴉』ほか

生前まったく無名だった詩人・大手拓次(1887-1934)は山村暮鳥(1884-1924)、萩原朔太郎(1886-1942)と並ぶ群馬三大詩人で、また拓次と朔太郎・室生犀星(1889-1962)は「(北原)白秋門下三羽烏」と呼ばれた同世代のライヴァルたちだった。だが暮鳥と拓次の知名度…

千家元麿『わが児は歩む』

千家元麿(1888-1948)は埼玉・静岡・東京知事を歴任した華族の庶子。高潔柔和な人柄と素朴な作風で愛された詩人だった。 『わが児は歩む』 千家 元麿 吾が児は歩む 大地の上に下ろされて 翅を切られた鳥のように 危く走り逃げて行く 道の向うには 地球を包ん…

山村暮鳥『いちめんのなのはな』

山村暮鳥(1884-1924)の詩集「聖三稜玻璃」1915(三稜玻璃は「プリズム」のこと)については前回解説した。この詩集最大の悪評は巻頭作『囈語』と、巻末近い次の作品による。 『風景~純銀もざいく』 いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな…

ザ・ドアーズのアルバム( 後)

(前篇より) だが78年に突如モリソンの詩の朗読に3人演奏をダビングした「アメリカン・プレイヤー」'An American Prayer'をリリースし話題になり、モリソンと大学の映画学科同窓生だったフランシス・フォード・コッポラ「地獄の黙示録」での楽曲使用(「ジ・エ…

ザ・ドアーズのアルバム( 前)

昨年秋、輸入CD市場でドアーズのファンを騒がせたのは、ジム・モリソン(ヴォーカル)生前のスタジオ録音アルバム全6枚を紙ジャケット復刻したボックス・セットだった。同様の企画はこれまでもあったが、ボーナス・トラック、リマスター/リミックス、何より価…

高村光太郎『原・道程』( 後編)

(まだ続く) そして僕はもう頼る手が無くなった/無意識に頼っていた手が無くなった/ただ此の宇宙に充ちみちている父を信じて/自分の全身をなげうつのだ/僕は初め一歩も歩けない事を経験した/かなり長い間/冷たい油の汗を流しながら/一つところに立ちつくして…

高村光太郎『原・道程』( 前編)

『道程』 僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る ああ、自然よ 父よ 僕を一人立ちにした広大な父よ 僕から目を離さないで守る事をせよ 常に父の気魄を僕に充たせよ この遠い道程のため この遠い道程のため (詩集「道程」1914より) 高村光太郎(1883-1956)の…

裸のラリーズ『夜、暗殺者の夜』

裸のラリーズ(活動期間1967-1997?)は水谷孝を中心に京都で結成された。60年代は京都で、以後は水谷のみがメンバーを補充しながら(村八分とも共演)東京に活動拠点を移した。その長く特異で匿名的なバンドの歴史は以前にも記事にした。今回はラリーズを歌詞の…

村八分『草臥れて』ほか

まず写真を。50年前の日本のロック・バンドと思えるだろうか。これが頭脳警察と並び賞されたアンダーグラウンドの雄・村八分です。ただしレコード契約はなかなか決らず、唯一のアルバム「ライブ村八分」1973はバンドの解散ライブを収めたものだった。「世界…

えび天そばの恨み

恨みは食いっぱぐれ事件にあった。写真はえび天うどんだが、細かいところは気にしないでほしい。一昨年からこのかたのことだ。苦手だ、とか高い、という恨みではない。たまに食べるとうまいと思うが、なにがなんでもとは思わない。 ではなぜえび天そばに恨み…

山村暮鳥詩集「聖三稜玻璃」1915

今回からしばらく大手拓次(1887-1934)とともに山村暮鳥(1884-1924)におつきあい願いたい。この二人は萩原朔太郎(1886-1942)と並ぶ群馬三大詩人であり、大手は萩原・室生犀星(1889-1962)とともに「北原白秋門下の三羽烏」と呼ばれ、また山村は萩原・室生との…

頭脳警察『銃をとれ』ほか

頭脳警察は1969年パンタ(ヴォーカル)とトシ(パーカッション)により結成。72年のファースト以後75年までに6枚、現在も再結成し活動中。ご紹介の曲はすべて「頭脳警察1」から選んだ。まず、頭脳警察といえばこの曲。 『銃をとれ』 銃をとって叫べ 誰に俺達が裁…

大手拓次『そよぐ幻影』ほか

萩原朔太郎は同世代のライヴァルから影響を受けるのが実に巧みで、「月に吠える」では室生犀星・山村暮鳥、「青猫」では大手拓次(1887-1934・群馬県生れ)の顕著な影響が見られる。犀星は大成したが、暮鳥・拓次の知名度はぐっと落ちる。その一因には生前の評…

安西冬衛『軍艦茉莉』ほか

安西冬衛(1898-1965・奈良県生れ)は第一詩集かつ日本のモダニズム文学を代表する傑作「軍艦茉莉」1929で特異な短詩・散文詩を確立したカルト的詩人で北川冬彦の盟友。真髄はすべて第一詩集にある、といえるだろう。 『軍艦茉莉』 安西 冬衛 (一) 「茉莉」と…

殺人現場と私

実はドヤ街の記事で使った写真はドヤのビルではなかった。ではなぜあんな写真なんかというと、このビルでタイ式マッサージ店を経営する韓国籍の女性が他殺体で発見されたのだ。昨年11月のこと。そこで12月に総合病院に通院した時にネタ切れ用の素材と思って…

北川冬彦『戦争』『馬』ほか

北川冬彦(1900-1990・滋賀県生れ)は満州育ちの詩人・映画批評家。大正13年、大連で三好達治・安西冬衛らと同人誌「亜」を発刊。次いで「詩と詩論」に参加後、レアリスムの再検討を期して「詩・現実」を創刊。最盛期の評価と反して、俳句の山口誓子とともに現…

ドヤ顔の賛否両論

全国に点在しますが、ドヤ(ドヤ街=ヤド)とは保証人を立てられない日雇い労働者の宿泊施設です。アパートより高いが旅館よりは安く、住民登録できる。すると生活保護申請できる。それが通ると事情の限り働かずに済む。朝から路上で酒を飲んでいる。それが「…